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2008年12月28日(日) 02時34分

<国交省発注業務>天下り財団を優遇…道路下の空洞調査毎日新聞

 道路陥没の危険性を調査する国土交通省発注の業務を巡り、業務経験を持つ国交省OBがいる公益法人が受注に有利になるよう、国交省が業者選定の評価基準を設定していたことが、毎日新聞の入手した内部資料で分かった。公益法人に道路特定財源を無駄遣いしているとの批判を受け、国交省は今年度から随意契約を見直し新たな契約方式を導入して民間参入を促したが、国交省OBの天下り先で昨年度まで業務を独占してきた財団法人「道路保全技術センター」(東京都港区)が受注を続けている。改革が骨抜きになっている実態が浮き彫りになった。

 問題の業務は「路面下空洞探査」。国道について、陥没の恐れがないか、レーダーを搭載した車両で路面下の空洞の有無を調べる。約20年前からセンターが独占受注してきた。

 国交省は今年度、業者選定の方式として新たに「簡易公募型プロポーザル」を採用。技術者の能力や経験を書面で審査するほか、面接で業務への意欲や理解度も評価する。

 毎日新聞は、業務を発注する出先機関の内部資料を複数入手した。それによると、技術者の経験や実績の評価方法として、大部分が国交省の出先機関での業務経験を高く評価する基準を導入。中には「道路や河川に関する技術的行政経験を25年以上有する者」(近畿技術事務所)と、国交省OBを事実上優遇する規定を設けているケースもあった。これまでセンターが独占受注してきたにもかかわらず、過去の受注実績も評価対象にしている。

 センターは、地方整備局の担当課長や出先機関の副所長を務めたOBらを実際にプロポーザルに参加させており、9月末までに公示された9件(総額約4億円)ではすべて受注している。国交省関係者は「天下り先の元上司をヒアリングして低い点は付けにくいだろう」と指摘する。

 道路保全技術センターは90年、道路交通の安全・円滑化を目的に設立。建設省・国交省OB3人が理事長や常勤役員を務めるなど、06年度時点で、職員206人中51人が建設省・国交省の天下りだ。

 国交省国道保全企画室は「他の業務でも同じ評価基準があり、特に意図したものではない」と説明。一方、センターは「(基準は)国交省が決めたことであり、話すことはない」としている。【田中謙吉】

 ◇簡易公募型プロポーザル

 役所などが複数の業者から技術や企画の提案書を提出させ、その内容を審査して最も優れた業者と契約する方式。インターネットなどで広く参加者を募る公募型のうち、技術提案書に求める内容が簡易なものを簡易公募型と呼ぶ。特定の業者が有利にならないよう、競争性や透明性を確保することが求められる。

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