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2008年12月28日(日) 10時04分

美姫3位に悔し涙…練習でアクシデントデイリースポーツ

 「フィギュア全日本選手権兼09年世界選手権代表最終選考会、第3日」(27日、長野市ビッグハット)
 アクシデントにも負けず、安藤が踏ん張った。逆転優勝は逃したが、手負いの状態で3位を死守。気力だけで世界選手権代表をつかみ取った。
 同組の6人による、演技前の6分間練習の序盤だった。安藤は、同じモロゾフコーチに師事する村主と激突し、両者とも転倒。安藤は右ひざから流血し、果敢に4回転にも挑戦したが、時間を残したままリンクを下りて調整に専念した。
 感覚がマヒした右足に「頑張ってね」と声を掛けての悲壮な出陣だった。ジャンプで転倒し、スピードにも乗らず、らしさはなかった。患部を冷やし、足を引きずって会見場に現れた安藤は「悔しかったけど、痛かった」と涙を浮かべた。
 “リベンジ”への思いだけで耐え抜いた。「(表彰)台に乗らないと世界選手権に行けないので…。とても悔しい思いをしている舞台へ、もう一度立ちたかった」。2連覇を狙った今年3月の世界選手権(スウェーデン・イエーテボリ)で左ふくらはぎの故障を悪化させ、フリーの演技の途中で棄権。どん底まで落ち込み、引退も考えたが、周囲の支えやファンの激励で再起した。
 今では「ケガをしたから今の自分がある」と、前向きに考えられるようになった。4回転の封印を指示したモロゾフコーチも「今季の美姫は、あきらめずに貫くような姿勢を初めて見せている」と精神面での進歩を感じている。
 4年ぶり3回目のVを逃す3位に「30%の力しか出せなかった。台に乗れたけど、納得していない」と唇をかんだ。03年に4回転を成功させ初優勝した思い出の会場で、快挙の再現はならなかった。右肩に古傷を抱えた上に、不運なケガがつきまとうが、前だけを見据える。世界選手権で2年分の思いをぶつけ、バンクーバーへと突き進む。

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