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2008年12月28日(日) 10時02分

真央逆転で史上8人目3連覇/フィギュア日刊スポーツ

<フィギュアスケート:全日本選手権>◇27日◇長野・ビッグハット
 ショートプログラム(SP)2位で迎えた浅田真央(18=中京大中京高)が、史上8人目の3連覇を達成した。3つのジャンプが回転不足と判定され、2位村主章枝(27=avex)にフリー首位を譲ったが、合計182・45点で逆転優勝。今季2番目に低い得点にも、すべてのジャンプを着氷させて「すべてにおいて満足」。来年3月の世界選手権で完ぺきな演技を目指す。安藤美姫(21=トヨタ自動車)は直前練習で村主と激突して右ひざを負傷したが3位を死守。上位3人が世界選手権代表に決まった。
 演技を終えた浅田は、胸に手を当ててホッとした表情を浮かべた。充実感と同時に、勝利を確信した。冒頭から3回転半—2回転トーループの連続ジャンプ、続いて単発の3回転半に挑戦。後半には3回転フリップ—3回転ループにも挑んだ。高得点が狙える大技を1度の転倒もなく着氷した。タラソワ・コーチからは「すごく良かった」と拍手で迎えられた。浅田自身も「すべてにおいて満足している」と笑顔を見せた。
 しかし、電光掲示板に表示されたのは、意外にもフリーでは村主に4・12点も及ばない117・15点。SPのリードを守り、合計点で逆転優勝は決めたが、2度の3回転半と、2連続3回転の後半ジャンプが、すべて回転不足と判定されていた。今季からビデオを利用し回転不足の判定が厳しくなっていた。2週間前のGPファイナルで女子の国際大会では史上初めて2度の3回転半を成功させたが、最近2カ月で4戦目というハード日程による疲労も影響を及ぼしていた。さらにSPで小差だった中野、安藤が低迷。優勝濃厚の状況で、集中力を欠いたのかもしれない。
 だが浅田は気落ちしていなかった。「あまり得点は気にしていない。次までに修正したい」。2連続3回転は今季SP、フリーで8連続失敗。1度の成功もないが「今日は絶対に跳ぶという気持ちで臨んだ。緊張したけど、思い切って跳ぶことができたので、この感覚を忘れず次に生かしたい」と、もっとも重要な感覚に手応えを感じていた。
 3月の世界選手権後から10年2月のバンクーバー後まで、牧野講平氏と専属トレーナー契約を結んだ。30センチや45センチの昇降台を何度も跳び、以前は主に独学で培っていた跳躍力や筋力を養った。「陸上の400メートル障害と同等」(同氏)という、難度の高いフリーを演じきる体力もついた。
 同氏が「現時点で最終的な目標の7〜8割ぐらいに到達している」と話せば、浅田も「世界選手権では入っているエレメンツ(演技要素)を、すべてミスなく滑りきりたい」と意欲を見せた。バンクーバー五輪の金メダルへ、異次元の強さを手に入れるため、新たなステップに突入した。【高田文太】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081228-00000018-nks-spo