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2008年12月28日(日) 09時18分

保険料16万事業所が滞納 過去最悪、景気後退で中国新聞

 厚生年金や旧政府管掌健康保険(政管健保)の保険料を滞納している事業所が、社会保険庁の今年九月末のまとめで約十六万四千五百カ所に上ることが二十七日、分かった。社保庁が集計を始めた二〇〇〇年以降で最悪となり、加入事業所全体の約一割を占める。

 昨年の米サブプライム住宅ローン問題以降の景気後退で、業績が悪化し保険料を払えない企業が増えたことが一因とみられる。ただ、今回の集計は最近の急激な経済危機の前に行われており、滞納事業所はさらに増える恐れもありそうだ。

 滞納事業所数は、今年七月末時点で保険料を一部でも納めていないケースを九月末に集計。今年五月末にまとめた約十二万三千七百カ所に比べ約四万カ所増えた。

 今年十月、全国健康保険協会(協会けんぽ)に移行した旧政管健保は、社保庁が運営主体で、中小企業の従業員らが加入する健康保険。滞納事業所もほとんどは中小零細企業とみられる。勤務先の企業が滞納しても、従業員が医療費の全額負担や年金給付の減額といった直接の不利益を受けることはないが、厚生年金や健康保険の財政にはマイナス要因となる。

 社保庁は景気悪化以外の原因として、全国の社会保険事務所が滞納事業所数を年度末に減らすように対策を立てるため、年度途中では増加する傾向があることを指摘。

 このほか、社保事務所の職員が年金記録問題の対応に追われ、督促や資産の差し押さえまで手が回らない結果、滞納事業所数が減らないという側面もある。

 徴収の時効は二年だが、差し押さえを実施した事業所数は、〇七年度は前年度比17・5%減の約一万二千九百カ所にとどまっており、〇八年度も滞納対策に十分な人員を充てられていないという。ただ、差し押さえが企業倒産の引き金になる恐れもあり、現場の社保事務所は難しい判断を迫られている。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200812280097.html