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2008年12月28日(日) 08時03分

東証上場企業が連続減 景気悪化で42年ぶり産経新聞

 平成20年に東京証券取引所への上場が廃止となった企業は27日時点で79社に上り、過去最悪だった14年(78社)を上回った。金融危機に伴う景気悪化で経営環境が厳しさを増す中で、破綻(はたん)などに伴う上場廃止が相次いだためだ。この結果、同取引所の上場企業は20年末で昨年より減少するのが確実となった。2年連続のマイナスは42年ぶり。

 東証によると、民事再生法・会社更生法の申請といった破綻による上場廃止は、アーバンコーポレイションやオリエンタル白石など16社。イラク情勢の緊迫化で世界経済が減速し、倒産が急増した14年の22社に次ぐ規模だ。

 外国企業の上場廃止も英金融大手バークレイズなど9社に上り、前年(3社)の3倍になった。株式取引の低迷に加え、日本語による経営情報の開示など企業側の負担が大きく、コストに見合う上場メリットが見いだせないことも外資の撤退に拍車を掛けている。東証上場の外国企業は16社とピークだった平成3年(127社)の8分の1に減少した。

 東証の3市場(第1部、第2部、マザーズ)に上場する企業の数は19年に29年ぶりに減少に転じた。今年は27日現在で2389社にとどまり、2年連続の減少となれば証券不況だった昭和40〜41年以来となる。

 東証から姿を消す企業が相次ぐ一方で、新規上場も昨年の65社から今年は54社に減少する見通し。株価が低迷する中、市場からの資金調達も厳しいものにならざるをえず、「上場計画自体を延期する企業も多い」(大手証券)という。

 野村証券金融経済研究所の西山賢吾ストラテジストは「企業は以前ほど東証への上場にメリットを感じられなくなっている」と指摘する。かつては「東証上場企業」というブランドが、絶大な効果を発揮したが、「今は権利意識の高い株主への利益還元に加え、法令順守態勢や情報開示の強化などの負担が増し、コストに見合わないと考える企業が増えた」(西山氏)。

 東証は各地で「上場予備軍」の企業を集めたセミナーを開くなど対策に躍起だが、金融危機と景気後退が長引く中、市場では、上場企業数の反転は当面見込めないとの観測が強い。ただ、西山氏は「数だけ増やしても意味がない。東証も、上場後も経営努力を怠らない良質な企業を育てるべきだ」と指摘している。

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