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2008年12月28日(日) 08時03分

盗難携帯か 中国で流通 「日本製はステータス」産経新聞

 中国で出所が分からない日本製携帯電話が大量に出回り、一部は中国人が日本で不正購入し、中国に運び出していることが27日、分かった。最近では携帯価格の上昇に伴い、携帯販売店から盗んで運び出している可能性も高いという。日本製携帯電話は中国でステータスが高く、高値で売買される。警察当局は日本製人気を背景に、携帯が不正な手段で中国に流出しているとみて捜査している。

 NTTドコモによると、同社が首都圏で把握しているだけで、大量盗難はこの1年間に約40件発生。茨城県では1店から219台が盗まれるケースもあった。

 盗まれた携帯の大半が個人データが入った「SIMカード」を誰でも差し替えられるドコモとソフトバンクの携帯。自分のSIMカードを盗んだ携帯に差し込めば自分の携帯になる。店でしかSIMカードを差し替えられないauでは被害が確認されていない。被害総数は明らかなだけで3000台を超え、いずれも中国や欧州でも使えるタイプの機種だった。

 警察庁は携帯を狙った中国人窃盗団の過去の摘発例から「海外に送っている可能性は否定できない」とコメント。捜査幹部は「何らかのルートで中国に流れている」とみている。

 中国在住の日本人によると、日本製携帯は中国の携帯ショップやネットで4000元(約5万円)前後の高値で売られ、中国で売っていないはずの機種がネットの人気ランクに入るほど取引されている。

 中国の販売業者によれば、このうち多くが、買い付け役の中国人が日本人の偽名を使って大量購入し、中国に持ち出している。本人確認をしなければ携帯電話不正利用防止法違反だが、店側は中国人と知っていても「お得意さま」なので見逃しているという。

 しかし昨秋、携帯各社が本体価格を通話料に転嫁させて安く抑える方式を相次いで廃止し、携帯価格が上昇。一般的に以前、3万円台で購入できた人気機種が5万円程度になった。

 このころから、大量盗難が急増。携帯事業者は「本体の高額化と契約時の個人確認の強化で偽名購入者の一部が大量窃盗という実力行使にシフトしたのでは」とみている。(桜井紀雄)

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 ■不正、野放し状態

 不正な手段を使っても日本製携帯電話が中国に流出する背景には、日本製品の高い人気がある。しかし、不正流出した日本製品が公然と中国国内で売られている現状を取り締まるのは難しく、野放し状態だ。

 《夏普(シャープ)SH906i 1600万色、3インチモニター、520万画素カメラ、3380元(約4万4000円)、推薦度91%》

 中国の人気IT商品を紹介するサイトなどには、日本製携帯のこんな宣伝文が掲載されている。大半が中国で売られていないはずの機種だ。

 中国南部・深センの電器街。中国在住の日本人によると、携帯販売店のショーケースにはソフトバンクのロゴが入った本体が並ぶ。ソフトバンクは中国に進出していないため不正流入品とみられる。中国規格のSIMカードはサイズが違うため、店周辺の“改造屋”が本体の差し込み口を中国仕様に変える。

 携帯は都市部住民でも月給が軽く飛ぶ価格だが、日本製の人気は根強い。中国のIT事情に詳しい中国在住ライター、山谷剛史さんは「中国で携帯は持つ人のステータスを表し、月給の倍の端末も平気で買う。特に日本製品は信頼できると『神格化』している」と語る。日本で新機種が発売されると、リリースが中国語訳された記事がネットに流され、購買欲をあおる。

 明らかな不正流入品を取り締まれないのか。携帯事業を統括する総務省は「本人確認をしない譲渡は携帯電話不正利用防止法に違反するが、国外犯まで処罰できない」。海外で使うために携帯を持って出国する人も多く、税関でも摘発できないという。

 ソフトバンクは「不正契約など“入り口”で防がない限り、中国国内の流通まで対処できない」。NTTドコモは「中古品の売買であれば止めようがない」とお手上げ状態だ。

 ■高級機種投入カギ

 日本の携帯各社はこの2、3年、手ごろな価格の中国向け携帯を発売したが振るわず撤退している。しかし、シャープが6〜11月に日本とほぼ同じ仕様の機種を投入したところ、4000元クラスの高額機種の中で4位に入る売り上げを記録。この影響か、不正流入品のシャープ製品の人気が下がり始めている。

 山谷さんは「中国向け機種では中国人はばかにされていると感じ、日本で売られているのと同じだからこそ価値があるとみなされる」と説明。日本の携帯電話メーカーは「今後は日本と同様の機種を中国国内で販売することで不正流入が抑えられるのではないか」と話す。

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