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2008年12月28日(日) 08時01分

遼、止まらぬ進化 賞金ランク5位、大健闘の1年目 ゴルフ産経新聞

 □ドライバー自信/課題はアイアン

 スーパールーキー、石川遼(17)のプロ1年目が終わった。賞金ランキング5位と申し分ない成績だった。好結果を残せた要因を探るとともに、2年目を迎える来年の課題を検証してみた。(松本恵司)

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 ■プロ

 今月11日、チャリティーが趣旨の3ツアーズチャンピオンシップの記者会見に、石川はシニア、男女プロの出場15選手の1人として出席した。プロの先輩らに囲まれて緊張した表情の石川に、隣に座った矢野東が耳打ちするなどプロ仲間の気遣いを見せ、打ち解けた印象を与えた。今季は優勝を含め10位以内7度と申し分ない成績。周囲も「負けたくない気持ちと、頑張ってほしい気持ち」(横尾要)と意識が変わった。

 ■技術

 競争の激しいプロの世界では、結果がすべて。フェアウエーが狭い難コースで行われた日本オープンで、ドライバーを封印する選手がいる中、石川はドライバーを駆使してコースを攻略し2位に。これで「自信がついた」と手応えをつかむと、その後の7試合で優勝を含め5位以内が4度と勢いに乗った。

 石川の武器であり、魅力はドライバーの豪快さだ。「確実に使うクラブだから」と今年1年練習に専念。大会会場はもちろん、会場に来る前に練習場で打ち込んだ。自らのスイングの進化について「百パーセント生かし切れていなかった右足への体重移動が、バックスイング時にスムーズに行えるようになり、ボールに力を伝えるのがうまくなった」と解説。これによって「トップの位置がオーバースイングからコンパクトになり、切り返しのタイミングが安定した」と分析する。

 実際、スタンスは確実性を求めて開幕から比べて徐々に狭くなり、ヘッドは振り抜きを重視し460ccから400ccと小ぶりなものに替えた。この結果、ドライバーの飛距離は平均290・37ヤードで部門別7位にラインされた。「トップからの切り返しが力いっぱいの開幕当初から、おとなしく柔らかくなった。それによってスイングプレーンが一定になった」と日本ゴルフ協会(JGA)の児島宏さん。

 ■心身

 心身の成長も見逃せない。石川は今年、多くの国内プロを指導する仲田健さんの下でトレーニングしてきた。週で2日は1〜1時間半、3日は約15分、腹筋などの筋力トレーニングに取り組んだ。これにより体重は58キロから70キロに増えたが、体脂肪率は2ケタから10%以下に減少。疲労性の腰痛で結果を残せなかった昨年末から体力は改善され、スイングの安定につながった。食事もバランスよく、野菜やカルシウムなどを毎日1品以上取よう指導、「筋肉的にレベルアップし、体のサイズも1〜2割増した」と仲田さん。

 3〜4大会連続と予選落ちした前半から「会話の中で意識を高めるように努め、状況に応じて物事を考えていけばとアドバイスした。1個のプレーに集約するのでなく、次のホールは一からのスタートだというように意識の切り替えをしなさいと指導した」そうで「精神面で崩れず安定したことで、周りが後半落ちてきて優勝を狙えるようになった」と評する。

 仲田さんは3年計画で約7割の土台づくりを目指し、達成度は3割とか。来年は「パワーに左右差があり、弱い左を改善していく」と話す。

 ■吸収

 「来年は練習した成果が今年以上に出ると思うので楽しみ」と自信をのぞかせるドライバーの一方で、アイアンの正確性を示すパーオン率、パーキープ率は、それぞれ27位(63・53%)、45位(81・41%)と安定性を欠き、自らも改善の余地を認識する。

 石川は尾崎将司や青木功ら一流プロからのアドバイスを自分のプレーに生かす吸収力に優れている。太平洋マスターズで一緒にラウンドした今田竜二のアプローチをまねし、即実戦に生かしてみせた。今田は「予想をはるかに超えた」と才能を認めるほど。石川は「無駄のないようにオフを過ごし、来季は開幕から優勝争いに加われる選手になりたい」と熱い向上心がやむことはない。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081228-00000075-san-golf