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2008年12月27日(土) 00時00分

「非正規」 寒風の年末読売新聞

 来年3月までに職を失う非正規労働者が8万5000人に上ることが明らかになった26日、すでに「派遣切り」や「雇い止め」にあった人たちは住まいや職探しの難しさだけでなく、生活保護すら、あてにできない現実に立ちすくんでいる。

 「とにかく年齢が壁になって仕事が決まらない」。いすゞ自動車藤沢工場で派遣労働者として働いていた男性(37)は26日、契約が打ち切られたため就職先を探し始めたが、すべて電話口で断られ、面接すら受けられずにいる。年明けに就職活動を再開したとしても、製造業の人員削減は予想をはるかに超えている。早く決めなければという焦りだけが募るという。

 「地元は、なおさら仕事がないので、実家には帰れない」。東北出身で三菱ふそうトラック・バス川崎工場で派遣労働をしていた男性(35)は今月25日、契約が打ち切られ、派遣会社の寮を来月末までに出るよう通告された。しかし、寮付きの仕事が見つかるかどうかあてはない。「仕事だけでなく、家も見つからなかったらどうすればいいのか」

 大分キヤノンの派遣労働者の男性(38)は今月11日に契約を打ち切られてから、5、6件応募した会社はすべて不採用だった。同12日に大分市に申請した生活保護についても連絡はなく、市から借りた1万円と、派遣会社からの越年資金5万円でやりくりするしかない。派遣会社の寮にはしばらくいられるが、出て行けと言われればそれまで。「路頭に迷うしかありません」と途方に暮れている。

期間社員男性が地位保全求める

 東京都八王子市の半導体製造会社「OKIセミコンダクタ多摩」から12月末での雇い止めを通告された期間社員の男性(35)が26日、地位保全などを求める仮処分を東京地裁八王子支部に申し立てた。

 男性の弁護士らによると、男性は2006年7月から勤務。採用時に1年で社員登用すると言われたが、3〜6か月の契約を更新してきた。今月4日、詳しい理由の説明もなく雇い止めを通知された。

 男性が加盟する労働組合は雇い止めの撤回を求めたが、同社は26日、撤回しない方針を組合に伝えた。

 また、いすゞ自動車藤沢工場(神奈川県藤沢市)などで働く27〜49歳の男性派遣社員5人が26日、それぞれの派遣元4社からの解雇の無効などを求める仮処分を横浜地裁に申し立てた。

 申立書では、いすゞ自動車と派遣元との契約解除を理由に期間途中で解雇したのは労働契約法違反としている。5人は解雇の無効などを求めて1月にも横浜地裁に提訴する方針という。

http://www.yomiuri.co.jp/national/kishimu/kishimu081227.htm