記事登録
2008年12月27日(土) 12時52分

今こそキャピタルゲイン狙いでランドに注目=マネーパートナーズ武市氏サーチナ

 年末になって動きが止まった感もあるドル/円相場。マネーパートナーズ執行役員・チーフアナリストの武市佳史氏に、2009年の年初の動きを聞いた。


——この年末年始の外為相場の動きをどう見ていますか。

 基本的にドル売りの流れは変わらないと思います。その大きな理由は中国にあります。米国は周知のとおり借金国で、外国の力を借りて経済を運営しています。ドルを支えてきた主な国は日本と中国ですが、中国は5860億ドルという巨額の資金を内需喚起のために投入することを発表しました。

 そのため、米国がこれからばらまくであろう債券を買い支える資力に余裕がなくなるのではないか。これが、ドル売りが続くと見る大きな根拠です。

 ドル安の動きは2007年から続いています。2008年7月以降は「円高・ドル高・ユーロ安」の流れでしたが、それがここにきてユーロが買い戻され、ドルが売られるようになってきました。いままでドルが買われていたのは不可解な状況であり、この「円高・ドル安・ユーロ高」こそ納得の流れだと思います。

 しかも、米国が景気を回復させるためにはドル安がベターなので、よりドル安が進行しやすく、また日本の輸出筋からのドル売りオーダーがたまっていることも考えると、上値は重い。ただし行き過ぎた下落を調整する動きが入ると見られることを勘案して考えると、当面は90円台前半で、下値が固い状況が続くのではないでしょうか。

——日米の政策金利が逆転したいま、個人投資家のFX取引に対するスタンスも変わってきそうです。

 そうですね。これからはスワップポイントを重視した売買スタンスを転換させたほうがよいかもしれません。本来、FX取引はキャピタルゲインを狙うもの。日本人は投資よりも貯蓄が好きな民族ですから、FX取引もスワップポイントにスポットを当て、インカムゲインをクローズアップしてきました。

 しかし現在の世界的な利下げの流れの中では、それはあまり期待できません。だからスワップポイントはあくまで「おまけ」と考え、ドルが安くなると思えば「買い」、高くなると思えば「売り」、判断できないときは「様子見」という単純な取引が、これからのFX取引に対する基本的なスタンスになると思います。

 今後のポイントとしては、繰り返しになりますが「円高・ドル安・ユーロ高」。ドルの一人負けという状況はしばらく変わらないと見ます。

——その他に注目すべき通貨はありますか。

 南アフリカランドの売買に注目する個人投資家が増えてきています。ただし、これまでのインカムゲイン狙いの取引手法ではなく、キャピタルゲイン狙いの取引手法へと変わってきているようです。

 ここ最近はある程度の変動幅を見せているランドですが、もともとは上下20銭から30銭程度しか動かない通貨です。このためキャピタルゲイン狙いには不向きと思っている投資家が多いようですが、しかし、現在、1ランドは9円ちょっとですからドルの10分の1の水準です。ということは、ランドの10銭の動きはドルの1円の動きに相当するわけです。実はランドという通貨は、機動的にトレードし、キャピタルゲインを狙うのに向いている通貨といえそうです。(文責:サーチナ・メディア事業部)

【関連記事・情報】
マネーパートナーズ株式会社 - 公式サイト
相場>相場観・コラム>サーチナ・インタビュー(相場) - サーチナトピックス
相場>為替・コモディティ>為替市場レビュー - サーチナトピックス

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081227-00000019-scn-brf