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2008年12月27日(土) 10時20分

望遠顕微鏡で見た東京市場の今週、来週=北浜流一郎サーチナ

 マイナス材料に強くなった。今週の東京市場を一言で表現するなら、こんなことばがふさわしいでしょう。日経平均の値動きは小幅であり、売買も極端に細ってしまいました。日経平均は週初22日の8602円であり、週末26日はそれをわずかに上回ってところで終わりましたので、上昇幅を見る限り、大したことはありません。引き続き地合は弱い。こう見ることも出来ます。そして実際、市場ではそんな見方がほとんどでした。

 それに売買量。25日は東証1部の出来高が10億株を割り込み、9.9億株にとどまりました。年末は来年への期待から売買が増えるのが普通です。しかし今年はそうはならず、今週はそれが如実にあらわれた形になりました。このため市場関係者たちの間では、「年末になってこれではどうしようもない」、「やはり今年は最後までダメだ」との声が多く聞かれました。

 確かに出来高、売買代金などを見るとその通りです。しかしそれらを気にすべきは証券関係の業者であり、彼らの視点から見るなら、今週は大いに期待外れだったことでしょう。証券電子化との関係からNTTなど大型株が売買停止となったことも彼らにとっては問題だったに違いありません。

 しかし個人投資家にとっては、市場への流入資金の量は特に問題ではありません。株価が上昇すればそれで十分であり、この観点からは今週は前述したように順調な展開だったことになります。それに今週は衝撃的なニュースがありました。トヨタ自動車 <7203> が22日、連結業績予想の下方修正を発表しました。営業損益が6000億円の黒字から1500億円の赤字になるとの発表でした。

 これはトヨタの株主にとってだけでなく、株式投資をしている個人投資家、さらには経済動向に敏感な人々のすべてにとって衝撃を与えました。世界ナンバーワンの自動車メーカーに躍進し、超健全経営を続けていることで知られるトヨタの赤字転落です。それほど日本経済は悪化しているのか。多くの人が衝撃を受けるに十分なショッキングな発表でした。

 こんな発表に加え、クリスマスシーズンを迎え、外国人投資家の買いを期待出来ない状況でもあり、今週は下落が予想されていたのにもかかわらず、結果は小幅ながら上昇しました。問題のトヨタ株も市場が恐れたほどは下げず、週初の2855円よりはごくわずかな上昇ながら2900円で引けました。為替が90円台半ばで推移したことが大きかったといえます。

 来年の主要テーマとして育つ可能性があるとして次世代電池・太陽光発電関連株、中でもGSユアサ <6674> 、明電舎 <6503> などが値を飛ばしたのも印象的でした。

 以上のような展開を踏まえて、来週はどうなるかですが、正直売買日数が少な過ぎます。一日立ち会いは29日だけであり、30日は半日。これでは積極的に売買する気になれるものではなく、引き続き閑散状態が続くことになるでしょう。「株を枕に正月を迎える」的な買いも入りにくく、静かな動きで大納会を迎えるでしょう。

 ただ、それは全体的なムードであり、個々の銘柄の値動きとなると、違った見方が必要です。個人投資家は継続的に買いを入れて来るでしょう。来年の上昇を見込み、今年中に仕込んでおこうとの考えに立つ投資家は多いからです。

 その対象となりやすいのは、電池、太陽光発電システム関連株などになりますが、同時に自動車主力株のように徹底的に売り込まれ、いまは底這いの動きに入っている銘柄群も買い直される確率が高いでしょう。個人投資家は来週も株式投資の王道=逆張り投資の道を一歩一歩踏み固めるようにして歩み続ける。いまは自信を持ってこういえる状況です。

■北浜の直言 09年は丑年。08年の「ブルブル相場」終わり、09年「ブル相場」の足音が聞こえる (執筆者:北浜流一郎 株式アドバイザー)

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