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2008年12月27日(土) 22時06分

<介護施設火災>夜間の職員1人…以前から問題指摘 福島毎日新聞

 福島県いわき市泉町滝尻の老人介護施設「ROSE倶楽部粒来(つぶらい)」で26日夜、入所者の同市平、久野トシヱさん(88)と同市小名浜岡小名、水谷タキさん(90)が一酸化炭素中毒死し、2人が煙を吸って重傷となった火災で、施設では以前から夜間の防災体制の問題点が指摘されていたことが分かった。

 1階リネン室付近の燃え方が激しく、県警いわき東署などは28日も実況見分して出火原因を調べる。

 同署によると、施設は出火時、2階の居室に高齢の入所者8人がおり、夜勤の職員は女性1人だけだった。福島県社会福祉協議会は今年10月にまとめた調査報告で、この施設について「職員が1人で夜勤になるため、職員は夜間時の災害対応に不安を抱いている」と指摘していた。

 施設側は毛布を使い、2階から避難する訓練を実施していたが、消防署の立ち会いはなかったという。報告書は「2階からの避難は夜勤者1人ではできないので、近隣の協力を得られるように」と対策を求めていた。

 いわき市消防本部によると、焼けたリネン室にはタオルやトイレットペーパーなどが置かれていたが、漏電の原因となる機器類や電源コンセントは見つかっていないという。

 病院には入所者5人が運ばれたが、高齢のため足腰が弱い人もおり、全員が自力で逃げられず消防隊員に救出された。死亡した水谷さんのかかりつけ医の男性(66)は「1週間前に診察した時は『正月は自宅で過ごす』と楽しみにしていたのに」と無念そうだった。【松本惇、今井美津子】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081227-00000087-mai-soci