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2008年12月27日(土) 20時33分

<岳沢ヒュッテ>半世紀、惜しまれ幕…再建断念 穂高連峰毎日新聞

 北アルプス・穂高連峰で半世紀以上、登山者に親しまれてきた山小屋「岳沢(だけさわ)ヒュッテ」(長野県松本市安曇)が、惜しまれながら幕を下ろした。経営者だった故上條岳人さんの長女明穂(あけほ)さん(44)が27日、廃業を明らかにした。

 岳沢ヒュッテは1956年、岳人さんと父の親人(ちかと)さんが開業。上高地から前穂高岳に直接登るルートでは唯一の山小屋で、縦走する際の重要な中継点だった。

 しかし、創立50年を迎えた06年に雪害で小屋が全壊。同年4月には、岳人さんが上高地のヘリポートで保冷車にはねられ死亡した。会社員だった明穂さんが遺志を継ぎ、07年春から廃材で造った仮設小屋で売店を開いたが、今年4月以降閉鎖していた。

 明穂さんは再建を断念した理由について、登山の知識や技術がなく、資金難を挙げた。毎日新聞の取材に「父や祖父を思うとつらい。廃業は避けたかったが、再建への道のりは思いのほか厳しかった。支援者の方々に申し訳ない」と話した。

 北アルプス山小屋友交会の穂刈康治会長は「以前から話を聞いており、廃業は仕方ない。地形上は上高地から正面にあり、穂高岳登山に欠かせない小屋だった。何とか再開できるようにしたい」と話した。【渡辺諒、神崎修一】

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