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2008年12月27日(土) 15時01分

<労組>フリーの音楽家、ライターらが結成毎日新聞

 フリーの音楽家やライター、自営業者らが、不況による報酬の不払いや引き下げに対応するために労働組合を結成した。会社に雇われて給与を受け取る労働者と違い、個人事業主による組合はまれ。メンバーは「私たちの仕事は、実質的には委任や請負、外注で働く委託労働。労組を通じて仕事や生活を守りたい」と話している。

 この組合は「連合ユニオン東京・委託労働者ユニオン」(向笠真弘委員長)。23日に結成集会が開かれ、22人が参加した。音楽家やライターのほか、小さな事務所や自宅でパソコンなどを利用するビジネスSOHO(ソーホー=スモールオフィス、ホームオフィス)を営む人たちだ。

 メンバーによると、経済情勢が悪化し始めた10月ごろから、報酬の不払いや減額が目立ち始めたという。しかし、個人で企業側と交渉すれば仕事を止められるのではないかという心配から、泣き寝入りするケースが多いという。組合では、そうした仕事に関する情報の交換や、団体交渉を通じての業務上のトラブル解決、福利厚生システムの整備などに取り組む。

 組合メンバーで、農業関連の企画などをしているNPO役員の岡本健次郎さんは「不払いや報酬の一方的な切り下げが増えている。組合を作ることで、会社との交渉もやりやすくなる」と話す。

 組合結成を支援した連合東京の古山修さんは「会社が倒産した場合、労働者の賃金は労働債権として優先的に保全されるが、個人事業主の報酬は売掛金などと同じ一般債権の扱いになってしまう。まとまって意思表明をすることが重要だ」と結成の意義を強調した。 個人事業主は、労働時間などを定めた労働基準法上の労働者にはならないが、労働の対価として報酬を受け取っているため、労働組合法では労働者として認められている。プロ野球選手や俳優の労働組合がその典型とされる。【東海林智】

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