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2008年12月27日(土) 13時05分

派遣切り…大阪、市営住宅開放も周知不足? 応募2人だけ産経新聞

 雇用情勢の急激な悪化に伴い、契約を打ち切られた派遣社員らへの自治体の支援策が具体的に動き始めている。大阪市は27日、職や住居を失った人への市営住宅の入居募集を実施。募集戸数50戸に対し応募は2人だけだったが、応募者が抱えている状況は深刻だ。

 市の支援策は、派遣切りや雇い止めで職や住居を失った元派遣社員らが対象。市営住宅の単身者の年齢制限を撤廃し、空き部屋50戸を最大2年間、敷金を免除して貸し出す。家賃は1万700円〜2万9600円。入居は来月上旬からになっている。

 27日午前9時から2時間、同市北区天神橋の同市立住まい情報センターで行われた申し込み抽選会には、最近になって職を失った派遣社員ら2人が参加した。

 大阪市内の元派遣社員の男性(57)は、今月16日、勤務していた派遣会社から突然、解雇を宣告された。それまでは会社の寮で暮らしていたが、即時退去を求められたという。「このままでは年を越すこともできない」と話す。

 市営住宅の入居募集については、ハローワークで知ったといい、「今は生きるために必死。住める場所が確保できるのは大変ありがたい」。現在は親類の家に居候しており、市営住宅への入居が決まり次第、転居したいという。

 経済状況は厳しいものの、大阪市内には、大規模な製造業の工場はほとんどなく、現時点では契約打ち切りで職や住居を失う派遣社員の数は、企業城下町などに比べると少ないとみられている。

 大阪市都市整備局の坂本高幸管理担当課長は「急遽の取り組みだったため、周知不足だった面もあるが、ゼロではない以上、行政として支援を考えたい」。28日も、午前10時から2時間改めて受け付けを行う。

 窓口を視察した平松邦夫市長は「失業者のなかにはこうしたサービスを知らない方々もいるのではないか。今後も引き続き情報収集に努めたい」と話した。

 一方、財務省も、仕事とともに住居を失った元派遣社員らに対し、空室となっている国家公務員用の住宅775戸を、地方自治体を通じて貸し出す支援策を発表した。国の出先機関に勤める公務員のための宿舎で、全国34都道県にある。入居条件は地方自治体がそれぞれ決める。

 また、福島県相馬市は、緊急雇用対策として、来年1月から始まる遺跡の発掘調査に1日あたり最大100人を雇用する方針を明らかにした。

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