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2008年12月27日(土) 12時20分

<フィギュア>高橋「けが、よかった」 リハビリに励む 毎日新聞

 フィギュアスケートの全日本選手権男子で織田信成(関大)が独走優勝を決めたのに対し、ライバルの高橋大輔(関大大学院)はリハビリに励んでいる。10月末の練習中、トリプルアクセル(3回転半)の着氷で右ひざ前十字靱帯(じんたい)を痛め、京都市内の病院で手術を受けた。10年のバンクーバー五輪を控え、日本のエースを襲った悪夢。しかし、高橋は今月24日の退院会見で「ある意味、けがして良かった」と吹っ切れた表情を見せた。言葉の裏には心境の変化があった。

 「見てください」。会見で高橋がウエアの両すそを上げると、現れた両ふくらはぎは右の方が細く、右ひざには装具も。ジャンプの着氷をするため、手術前は右のふくらはぎや太ももの方が太かったという。「左も細くなったのにこのサイズ。筋力が落ちて全然違う足みたい」

 ただ、マイナス材料ばかりではない。入院期間は高橋に気持ちの変化をもたらした。

 高橋は言う。「負傷前はあれもこれも取り入れた方がいいんじゃないかと選ぶばかりだった」。向上心の余り、迷いが生じていた。しかし、負傷後は「やることが(復帰という)一つに定まり、気持ちが一つになれた」と強調する。

 さらに、女子の浅田真央(愛知・中京大中京高)や男子の織田、小塚崇彦(トヨタ自動車)らの演技をテレビ観戦し、競技意欲が強く沸くのを感じた。「普通にスケートをできたのがすごく幸せだったんだなと。滑りたい気持ちがたくさん芽生えた」

 人生初の手術は五輪に向けてリスクがあった。それでも、高橋は冷静に決断した。「五輪までギリギリ(完調に)持っていける。(五輪は)100%の力を出さないと勝てない。自分も100%の力を出してメダルを狙いたい」。ひざを伸ばしきったり、深く曲げるとまだ痛みが残るが、入院中も1日7時間半のリハビリを続けてきた。

 本格的な練習再開は来年5月以降の見通し。「メダルを狙う挑戦者の気持ちで、一つ一つの試合を大事にしたい」。五輪制覇を目標に、一歩ずつ進むつもりだ。【新井隆一】

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