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2008年12月27日(土) 11時32分

意外と似ている? 東大生と京大生の読む本トップ10産経新聞

 活字離れがいわれて久しいが、2008年も星の数ほどの本が出版され、本屋さんの書棚をにぎわした。どんな本がどんなところで売れたのか。産経新聞文化部の読書欄担当記者が総力を挙げて、ランキングをまとめてみた。

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 東大生や京大生はこの1年間に、どんな本を手に取ったのか。両大学の学生生協に尋ねたところ、人気作品は似たような傾向となった。ベスト10の1位と2位は同じ。他に、TOEIC対策本やベストセラー作家の東野圭吾さんの作品など、同じ本が4冊ランクインした。

 東大生協本郷書籍部の山田宏和店長は、1位の『思考の整理学』は「東大、京大に限らず、全国各地の大学生協でよく売れているようです」と話す。

 出版元の筑摩書房によると、同書は「若者向けのやさしい自己啓発本」として昭和58年に世に出た。3年後に文庫化され、以後、ロングセラーとなっている。昨年初めに岩手県盛岡市の書店員が「若いころに自分も読んでおけばよかった…」と書いたポップ(本の紹介文)を添えたことをきっかけに、全国で爆発的な人気に。昨年からこれまでの売り上げは、50万冊を突破しているという。

 東大で9位、京大で7位に『広辞苑』が入っているのはさすがに大学生。今年1月、10年ぶりに内容が改訂された。「学生の卒業記念に、生協で卒業生の名入れをサービスしているのがよく売れている秘密です」と山田店長。

 では、東大と京大の違いは…。東大では8位や10位をはじめ、ベスト30の中に“東大関連本”が7点顔を出した。

 8位の『東大合格生のノートはかならず美しい』は、東大に入るための「ノート術」を解説した新しい参考書として、今秋出版された。山田店長は「購買部で販売する大学ノートも売れ行きが好調。本の発売が今年初めと早かったら売り上げランキングベスト3にはきっと入ったはず…」と話す。合格した東大生には必要ないような気もするけど…。

 京大でも“京大関連本”の存在が目立つ。京大生協ブックセンタールネの鯉迫伸一店長も、京大関係者の本が上位に食い込んだのがランキングの特徴、とみている。

 3位の森見登美彦は京大大学院修了の若手作家。残念ながらベスト10には入らなかったが、11位には5年前に第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した『太陽の塔』も入るなど人気を集める。

 10位『不可能性の時代』の著者は京大大学院の教壇に立ち、比較社会学や社会システム論を教えている教授だ。(村上智博)

■東大生の読む本トップ10

(1)『思考の整理学』外山滋比古(筑摩書房)

(2)『ハリー・ポッターと死の秘宝』J・K・ローリング(静山社)

(3)『生物と無生物のあいだ』福岡伸一(講談社)

(4)『「課題先進国」日本』小宮山宏(中央公論新社)

(5)『TOEICテスト新・最強トリプル模試3』中村紳一郎(ジャパンタイムズ)

(6)『容疑者Xの献身』東野圭吾(文芸春秋)

(7)『悩む力』姜尚中(集英社)

(8)『東大合格生のノートはかならず美しい』太田あや(文芸春秋)

(9)『広辞苑』新村出(岩波書店)

(10)『東大2009』東京大学新聞社編(東京大学新聞社)

(1月1日〜12月10日、東大生協本郷書籍部調べ)

■京大生の読む本トップ10

(1)『思考の整理学』外山滋比古(筑摩書房)

(2)『ハリー・ポッターと死の秘宝』J・K・ローリング(静山社)

(3)『四畳半神話体系』森見登美彦(角川書店)

(4)『TOEICテスト新・最強トリプル模試3』中村紳一郎(ジャパンタイムズ)

(5)『生物と無生物のあいだ』福岡伸一(講談社)

(6)『容疑者Xの献身』東野圭吾(文芸春秋)

(7)『広辞苑』新村出(岩波書店)

(8)『TOEICtest英単語スピードマスター』成重寿(Jリサーチ出版)

(9)『死神の精度』伊坂幸太郎(文芸春秋)

(10)『不可能性の時代』大沢真幸(岩波書店)

(1月1日〜12月9日、京大生協ブックセンタールネ調べ)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081227-00000519-san-ent