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2008年12月27日(土) 10時08分

【Re:社会部】住民の「思い」は…産経新聞

 全国各地で“脱ダム”の動きが加速しています。11月には滋賀、京都、大阪、三重の4府県知事が大戸川ダム(滋賀県)の建設計画について、事実上中止を求める共同意見を発表。直後に、金子一義国土交通相もダム整備のあり方を見直す考えを示しました。

 そうした中、国が群馬県長野原町に建設中の八ツ場ダムに水没する地区を取材したことを思いだしました。「一刻も早くダムを完成させてほしい」。地元住民の意見を聞き、正直面食らいました。

 八ツ場ダムの建設が持ち上がったのは、昭和27年。住民らは建設中止を求め、半世紀以上、国に反対運動を行ってきました。しかし計画は進められ、平成17年9月に、国と補償や住居の移転地についての調印作業を終える苦渋の決断をしました。

 ところが今、八ツ場ダムについても見直しを求める声が再燃し、地元住民に不安が広がっています。住民らは11月、早期完成を求める要望書を初めて、国交省と建設中止の考えを示す民主党に提出しました。

 長年苦しんできた地元住民が、ダムの早期完成を求めるのは、「早く落ち着いた生活を送りたい」との思いからです。住民らが決断するまでにはさまざまな思いが交錯したことでしょう。

 国がそれを簡単に「白紙」に戻したとき、住民の「思い」はどうなるのでしょうか…。(寛)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081227-00000045-san-soci