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2008年12月26日(金) 00時02分

ソマリア沖へ海自派遣視野 海上警備行動で対海賊中国新聞

 麻生太郎首相は二十五日夜、ソマリア沖の海賊被害対策として自衛隊法に基づく海上警備行動を発令して海上自衛隊艦船を派遣する意向を明らかにした。与党の合意を取り付けた上で来年一月中に決定し、二月中にも日本船舶の護衛を始める方針。海上警備行動による初の自衛隊海外派遣となる。

 海上警備行動は防衛相が首相の承認を得て発令する。ただ(1)武器使用は正当防衛や緊急避難のみ(2)防護対象は基本的に日本籍の船舶や日本人が被害を受けたケースに限定—などの制約がある。日本人の生命・財産に関係のない外国船が襲撃されても対応できない。

 首相は官邸で記者団に「日本も当然対応するべきだ。取り急ぎということであれば海上警備行動で対応する」と述べ、米国や中国、欧州と同一行動をとるため迅速な派遣が必要との判断を示した。防衛省は近く現地調査団を出す方向だ。

 河村建夫官房長官は二十五日の記者会見で、海上警備行動は原則として日本の領海内を想定しているなどの問題点を列挙。防衛省首脳も「何か起こったときに誰が責任を取るのか」と慎重だったが、首相の判断が優先する形となった。

 外務省は日本の船舶がこの海域を通過している中、何もしなければ艦船を派遣している諸外国から「ただ乗り」との批判が出かねないと懸念。イラク撤収やアフガニスタン本土派遣見送りも踏まえ「国際貢献」の一環として、海自艦派遣に向けた動きを進めていた。

 一方、内閣官房は艦船派遣の新法案の準備も進めている。首相は「他国の分は助けませんというのはいかがかと思う」と指摘。海上警備行動による派遣と並行して一月からの通常国会での新法制定を視野に調整を急ぐ考えを示した。ただ衆参両院の「ねじれ国会」で成立のめどは全く立っていない。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200812260112.html