記事登録
2008年12月26日(金) 00時02分

新銀行東京に改善命令へ 金融庁、融資審査の不備で中国新聞

 金融庁は二十五日、経営難に陥っている新銀行東京に対し、業務改善命令を出す方針を固めた。二十六日にも発動する。同行では融資資金をだまし取ったとして元行員が詐欺罪で起訴されている。審査の不備によるずさんな融資も指摘されており、内部管理体制に重大な問題があると判断した。

 同行は東京都が発行済み株式の約八割を握る大株主。設立時に出資した一千億円のほか、今年に入って同行の救済で四百億円を追加出資している。経営監視を怠ったとし、都の株主責任も問われそうだ。

 新銀行東京を舞台にした詐欺事件は、元行員のほか、金融ブローカーなども介在。経営実体のない会社の決算書を偽造するなどして同行から不正に約一億円の融資を引き出し、だまし取った。

 金融庁は、同行の経営陣を含めた組織的な事件ではないものの、融資の審査体制が極めて甘く、詐欺に付け込まれる要因になったと認定。

 また、五月から七月まで実施した立ち入り検査で、開業前に都が作成した過大な経営計画に縛られ、ずさんな融資を繰り返した結果、経営悪化につながったと指摘したとみられる。

 新銀行東京は二〇〇五年四月の開業から三年目で経常黒字を達成する目標を立てていたが、業績が振るわず、〇八年三月期の累積損失は一千十六億円に拡大。都は追加出資を余儀なくされた。

 都は同行の経営悪化について、旧経営陣のずさんな経営が業績の悪化を招いたとし、都に責任はないとの見解を示している。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200812260101.html