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2008年12月26日(金) 23時44分

基礎的財政収支目標 諮問会議が見直し視野に検討へ産経新聞

 政府の経済財政諮問会議は26日、財政健全化の政府目標である平成23年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化について、見直しを視野に年明けに検討することで一致した。この日、民間議員から出された意見書には「できる限り早く到達」と達成年限が消されており、こうした表現にとどめる可能性が浮上している。政府は代わりに、中長期的な目標を前面に出し、財政健全化後退との印象を打ち消そうとする可能性が高い。

 この日の諮問会議では、税収減で大幅な赤字となる21年度の基礎的収支などの試算が提示されたもようだ。これを受け、民間議員からは「達成は不可能だ」と厳しい意見が相次いだ。

 一方、与謝野馨経済財政担当相は会議後の会見で「基礎的収支はあくまで通過点」と繰り返した。「マラソンで42キロ走るとするなら5キロか10キロ地点の話」として、重要なのは基礎的収支目標をいつ達成するかではなく、その後の財政健全化への取り組みだとする考えを強調した。「23年度」を消しても、財政健全化が大きく後退した印象を与えないように布石を打ったとみられる。

 諮問会議は来年1月に、目標を見直すかどうか決める方針。与謝野経財相は「財政規律を維持していく象徴として残せという意見もある」として、まだ見直しを決定したわけではないことを強調した。しかし、景気後退により法人税を中心に大幅な税収減が財政を直撃しており、このほどまとめた「中期プログラム」に基づく消費税増税が23年度に実現しても、目標が達成できない可能性が高くなっている。

 見直す場合は、基礎的収支黒字化達成後の目標である「国内総生産(GDP)に対する債務残高比率の安定的引き下げ」を前面に出す方向だ。

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