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2008年12月26日(金) 23時40分

<東金女児殺害>再逮捕、勝木容疑者の刑事責任能力が焦点毎日新聞

 「帰りなさいと言ったのに帰らなかったので風呂につけた」。千葉県東金市で成田幸満ちゃん(当時5歳)殺害容疑で再逮捕された勝木諒容疑者(21)は殺意を認め、こう供述したという。県警東金署捜査本部は「軽度の知的障害だが、刑事責任を問えない状態ではない」と判断しているが、勝木容疑者の弁護人は「障害の程度に疑問がある」と指摘、取り調べの全過程の録画など可視化の重要性を主張している。

 会見した藤崎雄一・県警捜査1課長らによると、勝木容疑者は事件当日、幸満ちゃんが部屋で本を読んでいる間、DVDの装置を触っていたと説明。その後、勝木容疑者は1人で入浴したが、風呂から上がっても幸満ちゃんがいたため、「帰りなさい」「帰らない」と言い争いになった末に殺害したという。逮捕状を見せると、「うん」とうなずいたという。

 一方、各地で知的障害者が当事者となった刑事・民事事件を担当し、人権擁護活動を続けている副島洋明弁護士(東京弁護士会)らでつくる弁護団は、毎日のように勝木容疑者に接見、事実関係や取り調べの様子などを聞き取ってきた。

 副島弁護士は「勝木容疑者は、弁護士が敵か味方かも分かっていない」と指摘、知的障害の内容が「軽度の発達遅滞」ではなく、より重い障害の可能性もあるとして「早く専門の医師の診察を受けさせたい」と話す。

 千葉県弁護士会も今月18日、全過程の録画・録音による可視化▽一問一答式の質問と供述を要約しない調書作成などを県警と千葉地検に申し入れている。【中川聡子、斎川瞳】

 ◇ユキは帰ってこない…母はうつむいたまま

 「逮捕されてもユキは帰ってこない」。勝木容疑者が殺人容疑で再逮捕された26日午後、幸満ちゃんの母多恵子さん(38)は、うつむいたまま、勝木容疑者の自宅に近い東金市内のクリニックに出勤した。病院関係者の女性は「水につけられたなんて、どんなに苦しかっただろうと胸が詰まった」と沈痛な表情で語った。

 遺体が遺棄された現場には、たくさんの花束と小さなクリスマスツリー、サンタクロースの人形が供えられていた。近所の女性(58)は「幸満ちゃんも家族と一緒にクリスマスを楽しんでいたはずなのに」と目を伏せた。幸満ちゃんの親友だった女児の母親(32)は、元気だった幸満ちゃんの様子を振り返りながら「幸満ちゃんには『一歩進んだよ』と報告したい」と話した。【倉田陶子、斎川瞳】

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