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2008年12月26日(金) 23時07分

<ソマリア派遣>首相が準備を指示 自衛隊活動拡大に疑念も毎日新聞

 麻生太郎首相は26日、アフリカ・ソマリア周辺海域の海賊対策で海上警備行動を発令して海上自衛隊を派遣する準備を関係閣僚に指示した。だが、日本周辺海域を念頭に置いた海警行動での派遣は自衛隊の海外派遣をなし崩し的に拡大する危うさをはらむ。国際的な活動に日本国民の生命や財産を守るための規定を適用することにも疑念の声が上がっている。

 河村建夫官房長官は26日、自民党の保利耕輔政調会長に、通常国会で成立を目指す海賊対策の新法について与党で検討するよう要請した。国際的な海賊対策に自衛隊を派遣するための恒久法となる見通しだが、ねじれ国会で成立のメドは立っていない。与党の公明党も自衛隊の海外派遣に慎重だ。このため政府は早期派遣のための苦肉の策として、自衛隊法の海警行動を適用する方針を固めた。

 海警行動は、海上保安庁では対応が困難な場合に職務を代行するもので、法的な性格は警察活動とみなされている。日本国民の生命や財産を守るための任務で、国際活動への適用は極めて異例といえる。

 海警行動は、首相の承認で防衛相が発令するもので閣議決定は必要だが、国会承認は不必要。簡素な手続きで派遣が可能で、「安易に使われると世界中どこにでも行け、となりかねない」(防衛省幹部)と懸念もある。

【古本陽荘】

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