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2008年12月26日(金) 22時11分

<保険窓販>全面解禁1年 銀行、説明複雑で慎重姿勢毎日新聞

 銀行が窓口で全種類の保険を販売できるようになり1年が経過した。全面解禁により、新たに死亡保障保険や医療・介護保険を銀行窓口でも売れるようになったが、契約は低調だ。販売の現場では、「運用目的の預金と保障主体の保険では性質が違いすぎる」と積極的な販売を手控える向きが強いようだ。

 保険窓販は昨年12月22日に全面解禁された。これにより、以前から販売できた変額年金のほか、死亡保険や医療・介護保険も銀行窓口で販売できるようになった。

 だが、08年4〜9月に窓口販売された死亡保険と医療・介護保険の合計は、三井住友銀行が約4700件、三菱東京UFJ銀行が約4200件と窓販全体の約1〜2割にとどまる。業界全体でも約4万件程度とみられ、4〜9月の新契約全体の1%弱に過ぎない。

 「銀行窓口を訪れる顧客は資産運用が主な目的」(大手行関係者)で、窓口販売の保険の大半は貯蓄性の変額年金が占め、保障型の死亡保険なども併せて購入するケースは少ないという。

 そもそも銀行自身が、保険特有の特約などの説明が複雑なため、販売に慎重だ。「いずれ収益源になるかもしれない」と期待して、親密な生保からの出向者らを窓口に配置しているが、体制整備に時間がかかっている。顧客への徹底した説明を求める金融商品取引法が昨年秋に施行されたことも、影響している。

 そんな中で、銀行の窓口活用に積極的なのは、営業職員の販売網を持たない外資系などだ。08年4〜9月の死亡保険と医療・介護保険の窓販件数でアメリカンファミリー生命保険は約2万7000件に達した。

 営業職員を多数抱える国内大手生保は、自前での販売を重視しており、銀行窓口を通じたこれまでの契約は住友生命保険203件、日本生命保険93件と低水準にとどまっている。保険金不払い問題の影響で、「新たな販売ルートの開拓より営業職員への信頼回復が先決」(大手生保幹部)と考える生保も多いようだ。【辻本貴洋】

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