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2008年12月25日(木) 21時20分

ムンバイ同時テロから1カ月 印パの非難合戦続く産経新聞

 【シンガポール=宮野弘之】インド西部の商業都市ムンバイで11月末、160人以上が死亡した同時テロの発生から26日で1カ月となる。インド政府はパキスタンに拠点を置くイスラム過激派勢力の犯行として摘発を要求してきたが、パキスタン側は関与の証拠がないとして拒否、逆に「インドは戦争をあおっている」と非難している。インド側も「誰も戦争は望まない」(シン首相)として、軍事衝突を回避する努力を続けるが、再びイスラム過激派によるテロがインド国内で起きた場合、軍事的緊張が一気に高まる可能性がある。

 インドの地元紙ヒンズーによると、パキスタン政府は24日、インドに対し、ムンバイ同時テロにパキスタンを拠点とする組織が関与したことを示す確実な証拠を出すよう改めて要求した。

 同時テロの実行犯で唯一生き残ったカサフ容疑者は、イスラム過激派ラシュカレトイバのパキスタン国内の拠点で訓練を受けたと証言している。しかし、パキスタン側は同容疑者はパキスタン人ではなく、同容疑者からの弁護士派遣などの要請も拒否した。

 さらに、同国議会は24日、インド政府に「反パキスタンの宣伝をやめ、インド国内のテロリストの拠点の摘発」を求める決議を全会一致で採択するなど、世論は反インド色を一段と強めている。

 これに対し、インド側は26日からニューデリーを訪れるサウジアラビアの外相に対し、パキスタンに対テロの戦いで協力するよう働きかけることを要請する方針だ。また、イスラム社会で影響力を持つサウジアラビアに協力を求めることで、イスラム過激派勢力への資金の流れを止める狙いもあるという。

 こうした政府の姿勢にかかわらず、インド国内ではパキスタンに対する軍事行動を求める声は強まるばかりだ。来年の総選挙を控えて野党勢力は、シン政権のテロ対策は弱腰だと非難を強め、選挙の争点にしようともくろむ。

 さらにインド陸軍司令官が23日、かつての印パ戦争の戦場の一つ、カシミール地方のシアチェン地域を視察。一方でパキスタン空軍は22日に国内主要都市で緊急発進訓練を行うなど、きな臭い動きを続ける。

 パキスタンのギラニ首相は24日、ロイター通信にインドとの戦争はないとしつつも「わが国はどのような予期せぬ出来事にも対応する準備はできている」と語った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081225-00000603-san-int