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2008年12月25日(木) 21時20分

<官邸>調整力強化 官房長官の秘書官増員毎日新聞

 政府は25日、河村建夫官房長官の秘書官を増員し、安倍政権で首相秘書官だった経済産業省の今井尚哉官房総務課長をあてる人事を発令した。首相秘書官経験者が官房長官秘書官に就任するのは極めて異例。今井氏に「政策統括」を担当させ、河村氏の情報収集力と調整力を強化するのが狙い。ただ、今井氏の起用に官邸内から異論があったのに加え、「指揮系統にあつれきを生む」という懸念も出ており、官邸内が混乱する危険性をはらんだ人事と言えそうだ。【坂口裕彦】

 「官房長官の機能強化も含め、この厳しい状況を首相秘書官室と一体で乗り切るために必要だった」

 河村氏は25日の記者会見で強調した。今井氏は同じ経産省出身の柳瀬唯夫首相秘書官(84年入省)よりも入省年次が上で、首相秘書官室との連絡役も期待されている。

 官房長官秘書官はこれまで財務、外務、警察、内閣の4府省庁から出向したキャリア官僚(85〜87年入省)に政務担当を加えた5人体制だった。秘書官の増員に動いたのは、定額給付金の所得制限などをめぐり、与党と各省庁との調整力不足を指摘されたためだ。

 ところが、事務方トップで各府省庁との連絡役を自負する漆間巌官房副長官が難色を示した。結局は河村氏と親しい与謝野馨経済財政担当相が漆間氏を説得。漆間氏も了承したのだが、漆間氏と官房長官秘書官との関係が微妙になりそうだ。

 一方、財務省出身の秘書官が務めてきた首相秘書官の政策統括に総務省出身の岡本全勝秘書官(78年入省)が抜てきされたことで「財務省と官邸の関係が微妙になった」(首相周辺)とささやかれている中での人事。

 政策をめぐる迷走も財務省が積極的に協力しなかったことが一因との指摘もあり、財務省が官房長官秘書官でも筆頭格を失い、さらに溝が深まる可能性がある。また、年次を重んじるキャリア官僚が「年次の逆転」の中で機能するのか疑問視する見方も出ている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081225-00000131-mai-pol