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2008年12月25日(木) 20時11分

<09年春闘>雇用問題は官民一体で 経団連・大橋氏毎日新聞

 09年春闘に向け、経営側の基本方針をとりまとめた日本経団連の大橋洋治・経営労働政策委員長(全日本空輸会長)は25日、毎日新聞などのインタビューに応じた。大橋氏は「(急速な景気悪化で)メーカーで雇用調整がどうしても必要な部分が出てくる」と指摘、今後は正社員への影響も広がる可能性があるとの見方を明らかにした。また、連合側が求める賃上げには「ベースアップはなかなか厳しい」との認識を示した。【谷川貴史】

 −−09年春闘に向け連合は賃上げ要求方針を打ち出し、経団連は「雇用の安定」を基本方針に据えました。

 ◆今年夏を過ぎて日増しに経済情勢が悪化している。連合の要求は「物価上昇に合わせて賃上げを」ということだが、物価上昇は(資源高などが要因で)生産性の向上に寄与していない。この要求には応えきれないし、ベアはなかなか厳しい。

 −−非正規雇用の「雇い止め」問題などで企業の対応に批判が出ています。

 ◆各企業は雇用にも努力していると思う。ただ、特にメーカーでは雇用調整がどうしても必要な部分が出てくる。働いている人に極力、負担をかけない方法がないか、各企業は対策を練っている。景気の良い時は(非正規雇用の)契約が満了しても他の場所で仕事があったが、今はなかなかない。企業でできることに限界があり、官民が一体で雇用のセーフティーネット(安全網)を張っていく必要がある。

 −−安全網が不十分なことに、産業界の責任はありませんか?

 ◆企業にも責任はある。雇用の契約が切れた場合でも(解雇された労働者の)住居がなくなることがないよう、配慮する動きも出てきている。民も努力し、至らないところは官で補完してもらう。

 −−派遣など多様な働き方を認める規制緩和が進んできましたが、最近は規制強化を求める意見もあります。

 ◆規制緩和が本当に良かったのか、検証はもう一度しなければならない。しかし、一挙にこれ(規制)を強化すれば、また混乱が起きる。

 −−今後、正社員にも影響は広がりますか?

 ◆職種によって違うが、メーカーでは正社員の雇用も今までと違った様相を示すと思う。来年度は採用面で影響が出て、退職した人たちの補充を見合わせることも出てくるのではないか。正社員の削減はなかなか難しい話だが、早期退職勧奨というやり方がこれから出てくる可能性はある。

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