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2008年12月25日(木) 00時00分

雷雨予測にネットが威力を発揮読売新聞

 突然都市部を襲う「ゲリラ雷雨」。予測がつかないことから被害が大きくなりがちだが、ネットを活用したユーザー参加型のゲリラ雷雨予測が注目を集めている。的中率は7割強。ユーザーの「集合知」を利用する「Web2・0」的な仕組みだが、ネットの中だけで完結するのではなく、リアルの世界で役に立つ一味違ったサービスといえそうだ。

 天気予報サービス会社「ウェザーニューズ」(東京都)が今夏行った、「ゲリラ雷雨メール」がそれ。といっても通常の観測による天気予報ではなく、「参加したユーザーの観察結果」という感覚的・アナログ的な素材をネットを使って集計し、ゲリラ雷雨の来襲を予測するという手法である。

 ゲリラ雷雨は、「予測困難な局地的な豪雨」の意味で使われることが多く、発生原因については都市部のヒートアイランド化などとの関連も取りざたされている。急速に雲が発達するため、通常の気象レーダーやアメダスの10分単位の観測では正確な予測が難しい。

 雲の動きなどから「関東地方」「東海地方」など非常に広い範囲での予測は可能。発生しそうな状況になった場合、「ゲリラ雷雨防衛隊員」に登録した約1万人のユーザーにメール送信し、これを受けた隊員が、現在の天気や雲のある方角、雷鳴の有無などの客観的なデータのほかに、「湿った風が吹き始めた」「雲が急激に発達している」などの感覚的・主観的ななリポートを入力。同社でこれを解析し、狭い範囲のゲリラ雷雨を予測した。

 サービス期間の7月30日〜9月15日の間、東京都では172回のゲリラ雷雨が発生したが、同社ではこのうち76・7%に当たる131回の事前捕捉に成功。参加人数が増えるほど精度が増し、10キロ四方内で150人以上が観測に参加しているケースでは、捕捉率が90%を超えることも実証された。

 同社では、「数字でとらえられない、ユーザーの肌感覚を生かした新しい天気予報の形。来年以降もサービスを継続していきたい」としている。(2008年11月22日発売「YOMIURI PC」2009年1月号から)

http://www.yomiuri.co.jp/net/frompc/20081225nt0b.htm