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2008年12月25日(木) 06時02分

母親が1歳五女の点滴に腐った水スポーツ報知

 京都府警捜査1課と川端署は24日、京都大病院(京都市左京区)に入院中の1歳10か月の五女を、点滴に腐敗した水を混ぜて殺害しようとしたとして殺人未遂容疑で、母親の岐阜県関市の無職・高木香織容疑者(35)を逮捕した。同容疑者は「病気が悪化すれば、ずっと看病できる。死亡させるためにやったのではない」と供述。逮捕容疑となった混入以前にも、五女の点滴に腐敗水を混ぜたことをほのめかしている。女の次女、三女、四女はいずれも4歳になるまでに病院で病死したという。

 調べでは、高木容疑者は22日夕と23日夕の1回ずつ、京大病院の集中治療室(ICU)で、入院治療中の五女の点滴回路の管に腐敗した水を注射器で注入した疑い。五女は敗血症で死亡する恐れがあったが、治療を受けて快方に向かっているという。

 五女は今月2日、岐阜県内の病院から「免疫治療を受けたかった」(同容疑者)と、京大病院に転院した。敗血症で体調が悪化しており、転院直後の血液検査で、本来は血中に存在しないはずのカンジダ・アルビカンス菌などが検出された。

 24日に会見した京大病院の一山智副病院長らによると、オムツに含まれる物質が尿の中に混入したり、血液に存在しない細菌を確認。虐待を疑った病院は今月中旬、警察に通報した。

 12日から警察と協力し治療室のビデオ録画を開始。同容疑者が任意同行を求められた23日までに、不自然にポケットに手を入れる、ベッドの下に隠れて行動するなど不審な行動を4回確認した。注射器は映っていなかったが、4回のうち3回は、同容疑者が接触した後に五女が39度の高熱を出した。

 23日夕には、モニターに映らないように子どもを抱きながら点滴の管を隠す様子が映っていた。同容疑者に、主治医が「何をしていますか」と尋ね、一緒にいた警察官が、所持していた注射器を見つけたという。長尾能雅医療安全管理室長は「『治るだろうか』などと積極的に主治医と質疑していた。やりとりはごく普通のお母さん」と話した。

 府警によると、水はスポーツドリンクを混ぜて放置して腐らせていたという。同容疑者は「1週間から10日くらい放置したものを注入した」と注入した行為は認めているが「ICUに入っていても、病状がものすごく悪化すればずっと看病できる。死亡させるためにやったのではない」と殺意は否認している。

 また、同容疑者は逮捕容疑の混入以前の、今月初旬以降にも点滴に腐敗水を混ぜたことをほのめかしている。府警は24日、同容疑者の自宅や京都市内の滞在先などを捜索、混入に使ったとみられる複数の注射器を押収。転院直後の検査で菌が検出されており、転院前から混入を繰り返していた疑いがあるとみている。

 府警では、京大病院が投薬などで子どもをわざと病人に仕立て上げる特異なタイプの児童虐待の可能性があると指摘していることから、動機や経緯を慎重に調べている。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081225-OHT1T00100.htm