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2008年12月25日(木) 21時20分

<JFE>自動車不況深刻、他のメーカーに波及も 高炉休止毎日新聞

 鉄鋼大手JFEスチールは25日、西日本製鉄所倉敷地区(岡山県倉敷市)の高炉1基の稼働休止を発表した。休止の理由は、鋼材需要の3割以上を占める自動車メーカーが大規模な減産を進めているためだ。新車販売の落ち込みに歯止めがかからなければ、JFE以外の鉄鋼メーカーも高炉休止という厳しい判断を迫られることになる。

 「自動車会社の生産台数の下方修正は、鉄鋼業界に大きな影響を及ぼす。自動車の不振を大変心配している」。日本鉄鋼連盟の宗岡正二会長(新日本製鉄社長)は25日の定例会見で、自動車メーカーの業績悪化に深刻な表情をみせた。

 9月の金融危機の影響で、新車販売が全世界で低迷していることから、トヨタ自動車をはじめ国内主要12社はこれまで判明しているだけで計約230万台の減産に踏み切った。

 鉄鋼各社も秋以降、粗鋼生産の削減を進めてきた。新日鉄の計画比200万トン強、神戸製鋼所の60万トンなど、大手4社の減産は計700万トンに上る。

 しかし、自動車市場の動向は「落ち込みが急で速く、底が見えない」(渡辺捷昭(かつあき)トヨタ社長)状態。トヨタが「今後の需要が不透明」として、年末恒例の翌年の生産・販売台数計画の公表を見送ったのを受け、鉄連も例年公表している次年度の粗鋼生産見通しの発表を断念せざるを得なくなった。

 今後、自動車メーカーなどの減産がさらに進めば、鉄鋼各社も生産体制の見直しは不可避。新日鉄は既に、原料の投入量を落としたり、高炉に送る風の量を調整して、粗鋼の生産量を落としているが、「あまりにも鋼材の需要が落ちれば、これまでのような生産調整の方法では間に合わない。高炉休止という最終判断もあり得る」(大手鉄鋼幹部)との声も出始めている。【森有正】

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