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2008年12月24日(水) 17時39分

巨額予備費、憲法上問題も=早くも「道路に」と族議員ら−政府予算案時事通信

 政府は24日閣議決定した2009年度予算案に、1兆円の経済緊急対応予備費を計上した。麻生太郎首相が12日の記者会見で「予期せぬ新たな事態に備える」として、雇用対策や中小企業支援、社会資本整備に充てる考えを示していたものだ。しかし、配分決定に国会審議を必要としない予備費からの巨額支出には、識者から憲法上の問題を指摘する声もあり、予算案をめぐる国会審議の火種となりそうだ。
 予備費は本来、自然災害など補正予算を編成していては間に合わない緊急の支出に備えるための経費。具体的な使途は政府の裁量で決められるため、1兆円もの巨額費用を計上することには「憲法上も問題がある」(高橋洋一東洋大学教授)とされる。
 小渕内閣時代の1999年度と2000年度予算に、景気対策として各5000億円の「公共事業等予備費」が計上された時も、野党は「選挙目当て」と強く反発した。
 国会での予算審議とは別に、予備費の配分をめぐる調整も難航しそうだ。過去の公共事業等予備費はいずれも年度後半までに道路整備や整備新幹線の建設費用などに充てられた。来年度予算案に計上された公共事業費は実質5.2%のマイナスとあって、自民党道路族や国土交通省は「予備費は公共事業にもらえる」(国交省幹部)と早くも失地回復を狙う。 

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081224-00000119-jij-pol