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2008年12月24日(水) 02時19分

新型インフルエンザ感染想定 近畿は4割800万人産経新聞

 新型インフルエンザが近畿2府4県で発生した場合、人口の25%程度とした国の試算を上回り、最終的に近畿の総人口の40%にあたる約800万人が発症すると、国立感染症研究所感染症情報センター(東京)の大日(おおくさ)康史・主任研究官が試算した。外出制限などを行うことにより、20%程度まで発症を抑えることも可能という。

 試算は、発症時期をインフルエンザが流行しやすい冬場に、また世界的に大流行し、国内でも大正7〜10年に当時の人口の約半数にあたる2380万人が罹(り)患(かん)、38万8000人が死亡したスペイン風邪並みの感染力を持つと設定し、行った。

 試算では、新型インフルエンザの初発症者を「神戸市灘区在住、東灘区に勤務する会社員」と想定。通勤距離が短いために当初は狭い地域での感染にとどまるが、その後何も対策をとらなかった場合、大阪から周辺各府県に急速に広がり、首都圏の想定に比べ10日ほど遅れた35日目にピークを迎える(グラフ)。その時点で、発熱などの症状が出る感染者は近畿の人口の17%にあたる340万人となり、最終的に2カ月間で発症者は800万人にまで拡大するという。

 一方、感染拡大防止策を講じ、学校閉鎖を行ったり、普段電車を利用する通勤者のうち20%が外出を自粛したりした場合には、何も対策をとらなかった場合の半分の400万人にまで発症者数を抑えられると推測している。

 大日研究官は「人口密集地だからお手上げということではなく、感染の拡大を食い止められる可能性がある。その可能性を見過ごさないためにも積極的な対策が必要」と話している。

 国の試算では、国内で発症者が出た際、人口の25%にあたる3250万人が罹患し、2500万人が医療機関で受診。最悪の場合、死亡者数は64万人にのぼると推定している。

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