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2008年12月24日(水) 00時00分

原告「食事できればほっと」中国新聞

 「食事ができるとほっとするんです。今日も一日生きられたって」。25日に広島地裁で判決がある生活保護訴訟の原告の一人、広島市東区の男性(81)は、かみしめるように言う。幹線道路沿いの古びたアパートの一室。家賃を除き、年金と保護費を合わせた月約7万5000円で暮らす。

 2年前に亡くした妻とは60歳を過ぎて一緒になった。しかし、月に1万7930円あった老齢加算が徐々に減額されかなわなくなる。食事や風呂の回数を減らし、新聞もやめた。

 加算が廃止された2006年の12月。急に体調を崩し身動きができなくなった妻は、最期まで病院に行くことを拒み、自宅で息を引き取った。「もう少しお金があれば満足な食事もさせてやれたのに。すまなかった」

 公判は欠かさず傍聴した。保護基準の見直しによる「痛み」を妻の分も訴えたかったからだ。

 11—21歳の子ども4人を抱える広島市西区の無職女性(46)は保護費の約1割を占めていた母子加算約2万7000円が約8000円にカットされた。原告になり、ほかの仲間や子どもに勇気づけられている。「自分と同じ境遇にはなってほしくない」。判決に子どもたちの将来も託す。

【写真説明】老齢加算などの廃止は不当として提訴のため広島地裁へ入る原告団と弁護団。これまでに原告6人が亡くなった(2005年12月9日)

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200812240023.html