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2008年12月24日(水) 23時57分

民主「雇用国会」へ勢い 給付金に照準、与党を揺さぶり産経新聞

 民主党は、麻生政権を衆院解散・総選挙に追い込むため、来年1月5日召集の通常国会を「雇用国会」と位置づけ、定額給付金の是非をめぐる与野党対決に照準を合わせる。政府が通常国会に提出する平成20年度第2次補正予算案と関連法案から定額給付金を切り離す修正案を提出し、給付金に批判的な与党議員を揺さぶり、麻生太郎首相を追い詰める構えだ。24日に提出した解散要求決議案で、自民党の渡辺喜美元行政改革担当相が造反し賛成に回ったことで勢いづいている。(斉藤太郎)

 小沢氏は24日の衆院本会議で行われた解散要求決議案の採決で、賛成するために起立すると、与党席で立ち上がった渡辺氏に視線を向け指差しながら、「よし!」とうなずき何度も手をたたいて喜んだ。

 同党幹部によると、決議案の提出は小沢氏が19日の幹部会で、「1人でも与党議員が賛成すれば大きいじゃないか」と唐突に切り出したという。

 決議案提出をめぐり、幹部間には当初、与党側から造反者が出ず、かえって結束を固める結果になりかねないとの懸念が強かったものの、小沢氏の“奇襲作戦”が奏功した形だ。

 小沢氏は、本会議終了後の両院議員総会で、「国会終了と言っても、もう(1月5日から)通常国会が開かれる。気合を入れて、われわれの責任と使命を来年は必ず果たす決意で頑張りたい」と強調。その後に行われた記者会見でも「失業者がどんどん増え、倒産が毎日起きている。首相、自民党政権を維持せんがための(解散先延ばしの)考え方は、国民から受け入れられない」と首相の政治姿勢を批判した。

 同時に「選挙態勢は来月中に万全にしたい」と「1月解散」を想定し、準備を進める考えを表明した。

 通常国会では、補正予算案の定額給付金をめぐる予算委員会での論戦で攻勢をかける方針だ。党ナンバー2の菅直人代表代行を同委筆頭理事に据える異例の人事を断行したのもそのそめだ。首相の対応次第では、今国会で温存した内閣不信任案や問責決議案といったカードを繰り出し、政権を窮地に追い込むシナリオを描いている。

 小沢氏ら民主党幹部は25日、修正案の提出時期や定額給付金の財源2兆円を雇用・中小企業対策などに組み替えるかどうかなどを協議する。同党幹部は「修正案の提出時期は慎重に見極める。内容も与党にくさびを打ち込むような内容にしたい」と話す。

 衆院で17人の造反者を与党から誘い出し、民主党の修正案に同調させる環境が整えば、与党側は衆院の再議決に必要な3分の2の議席を失う。「17人のハードルは高い」(別の幹部)とはいえ、与党の再議決を封じ込めれば、麻生政権が窮地に陥るのは確実だ。

 小沢氏は「1月決戦」に向けて、恒例となっている私邸での新年会を「みんな選挙で忙しいから」と中止し、12月31日と1月1日にインターネット動画番組に正月返上で出演し、対決機運を盛り上げる。

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