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2008年12月24日(水) 23時51分

渡辺元行革相造反に軽い処分 自民幹部「思い通りにはさせない」産経新聞

 麻生太郎首相の政権運営批判を続けてきた自民党の渡辺喜美元行政改革担当相は、24日の衆院本会議で造反し、民主党提出の衆院解散要求決議案に賛成した。決議案は自民、公明両党の反対多数で否決された。渡辺氏は記者会見で自ら離党することや年内の新党結成、民主党との連携は否定したが、政権批判を続ける構えだ。一方、自民党の細田博之幹事長は比較的軽い戒告処分を決めた。内閣支持率低迷の現状で離党勧告など重い処分を下せば、政権批判を繰り返されマイナスになると判断した。

 「決議案をこっちから出したかった。おとがめは何でも受けますから、除名でも何でもしてくださいってことです」

 早期解散が持論の渡辺氏は、造反後の記者会見で強気を通した。さらに、「党の前に国家国民がある。単独行動で誰にも相談してない。今の閉塞(へいそく)状況の打破には解散・総選挙しかない。100年に一度の危機には100年に一度の政治体制、危機管理内閣をつくるべきだ」とも語った。

 自民党の二階派総会では除名論も出たが、党執行部は「党は何ら影響を受けない」(大島理森国対委員長)と平静を装い、戒告処分を早々に決めた。ある幹部は「思い通りにはさせない」とし、政府高官も「はぐれカラスみたいな人。英雄にしない」と語った。

 「処分は大変スピーディー。緊急(経済)対策もスピーディーにしてほしい。ちょっと肩すかしの感はある。信念は曲げない」

 渡辺氏は24日夕、記者団にこうまくし立てた。事務所に一般の国民から「よくやった」との激励が多く寄せられていることも渡辺氏を高揚させているようだ。

 自民党内には「ああいうのは造反とは言わない。信念だ」(武部勤元幹事長)、「目くじら立てなくていい」(石原伸晃幹事長代理)、「気持ちは分かる」(山本一太氏)などの同情論もある。しかし、渡辺氏が加入する「速やかな政策実現を求める有志議員の会」の幹部は「同調者はゼロだ」と語る。

 一方の民主党は「幹部の一人が渡辺氏サイドに同調を期待して決議案を伝えていた」(関係者)というだけに、「反乱軍として自民党に踏みとどまって仲間を募ってほしい」(幹部)と期待を寄せる。山岡賢次国対委員長は会見で「(堤防決壊の)アリの一穴というより、ゾウの一穴になるのでは」と語った。

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