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2008年12月24日(水) 23時29分

決まらぬメジャー移籍先 日本選手に大不況直撃産経新聞

 米大リーグ球団が移籍交渉を本格化させる「ウインターミーティング」から約2週間が経過したが、日本からフリーエージェント(FA)でメジャー挑戦する巨人の上原浩治投手(33)、中日の川上憲伸投手(33)の移籍先が決まらない。世界不況の影響は、日本のプロ野球選手をも直撃した。(田中充)

 川上、上原には23日現在、オリオールズなど複数球団が興味を示したとされるが、具体的な交渉経過などは伝わってこない。24日現在、日本選手で米大リーグへの入団が決まったのは、レッドソックスと契約した社会人野球、新日本石油ENEOSの田沢純一投手(22)だけ。昨季は、福留や黒田らの契約がすでに決まっていたのとは対照的だ。

 メジャー関係者は「上原と川上は、けがの不安がある上、先発の4、5番手候補と評価がそれほど高くない。各球団ともエース級の選手を優先するため、後回しになっている」と解説する。2人の代理人が「契約時期のめどは設定していない」と繰り返すのも、エース級の獲得に失敗した球団から好条件を引き出すのを待っているため。最近になってC・C・サバシア投手(28)と投手史上最高の7年総額約150億円で契約するなどヤンキースが大物選手を獲得したが、他球団の移籍交渉は停滞している。

 原因はやはり、金融危機から始まった大不況だ。経営危機に陥ったゼネラル・モーターズ(GM)が、ヤンキースやパイレーツとの契約の打ち切りを発表するなど、世界的な企業のスポンサー離れが加速。ファンの方も、人気球団のレッドソックスの来季チケット販売の問い合わせが激減するなど、財布のひもを堅くしている。

 米国のスポーツ経営事情に詳しい立命大の種子田穣教授(専門・スポーツビジネス論)は「不況はスポンサー、放映権料、入場料など、すべての収入に打撃を与え、球団は守りの経営になる。このため大型の契約が成立しにくくなるんです」と分析する。

 ポスティングシステム(入札制度)でメジャー移籍を目指した西武の三井浩二投手(35)も入札がないまま、ポスティングが締め切られた。今年は田沢以外の日本選手がメディアに登場することがないまま、クリスマス休暇を迎えることになりそうだ。

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