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2008年12月24日(水) 21時23分

<学力テスト>データ提供に一定基準 文科省・実施要領公表毎日新聞

 文部科学省は24日、来年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の実施要領を公表した。「序列化や過度な競争を避けるため」として、都道府県教委による市区町村・学校別の結果公表を禁じる規定は維持。大阪府の橋下徹知事が府教委から提供を受けたデータを公表したことを念頭に、教委などが知事部局などにデータを提供する場合は「(提供先が)実施要領の趣旨を守ることを前提とし、必要な措置を講じること」とする新たな規定を盛り込んだ。

 文科省の専門家検討会議は15日、都道府県教委に提供する資料について「弾力的な対応を可能とすること」を提言。教委が知事部局へ情報を渡したくない場合や、情報公開請求への対応で困難が予想される場合などに、資料を受け取らないことを可能とする措置だったが、提言を反映させた記述はしなかった。

 この措置には橋下知事が「ばか」などと文科省を批判。文科省は「『教委の責任回避を狙った』『地方に責任をなすりつけようとしている』などと言う人もおり、そうした誤解や憶測を避けるため記述しなかった」とし、知事らの発言の影響を受けて記述しなかったことを示唆した。

 だが、文科省は「提言は尊重する。教委から相談があれば、その都度対応を検討する」とし、そうした措置の実施に含みを残した。知事部局などへの提供に関する条件については、罰則はないものの、一定の抑制効果を狙っている。

 一方、要領は「調査結果の活用」の項目を新設し、教委や学校には「保護者や地域住民の理解と協力のもとで教育改善に取り組むこと」などを要請。「(教育の改善を目指すという)調査の目的達成に資するため」との条件付きで、市区町村や学校が自ら結果を公表することは歓迎する姿勢を示している。【加藤隆寛】

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