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2008年12月24日(水) 21時34分

<解散要求決議案>自民、膨らむ不安 渡辺氏「造反」で毎日新聞

 民主党提出の衆院解散要求決議案に24日、与党でただ一人賛成した自民党の渡辺喜美元行政改革担当相に対し、党執行部は「戒告処分」を即日決定した。政権批判を強める渡辺氏に同調する動きは少ないものの、早期決着が得策と判断した。ただ、麻生太郎首相の政権運営への不満は党内にくすぶっており、渡辺氏の言動は今後とも、中堅・若手を刺激しかねない。年明けの次期通常国会に向け、不安を膨らませる形となった。

 渡辺氏は24日午後1時すぎ、遅れて衆院本会議場入り。解散決議案の起立採決で、与党席から1人立ち上がった。野党席からの歓声で、渡辺氏の「造反」に気づいた首相は苦笑いを浮かべただけ。自民党の石原伸晃幹事長代理はしばらく渡辺氏を見つめた後、首を大きく横に振った。

 首相は24日の記者会見で、08年度第2次補正予算案と09年度予算案の早期成立を目指す決意を強調。「選挙だ、連立だ、政界再編だといった議論がある。しかし100年に一度と言われる経済危機のまっただ中。そんなことを言っている場合ではない」と述べたばかりだ。執行部でも「麻生(内閣)不信任決議案に賛成したような結果だ」(古賀誠選対委員長)として、除名など厳しい処分を求める意見が相次いだ。

 しかし、渡辺氏に離党勧告などの重い処分を下せば、党内のごたごたを強調する結果につながりかねない。自民党は26日、東京都内で全国幹事長・政調会長会議を予定しており、細田博之幹事長は「このまま処分が決まらず越年すれば、党方針があいまいに見える」と述べ、処分の中身より迅速さを優先したことを明らかにした。

 一方、渡辺氏は本会議後、国会内で記者会見し「おとがめは何でも受けるので、除名でも何でもしてください」と党執行部を挑発。毎日新聞のインタビューでも「新党を作る作らないにかかわらず、国民運動をやると決めている。(造反により)弾みがつく」と強調した。【三沢耕平、近藤大介】

 ◇野党共闘の危うさ浮き彫り

 民主党が提案した衆院解散要求決議案と参院審議権尊重決議案は、野党共闘の危うさを浮き彫りにした。社民、国民新両党は賛成したものの解散決議案の共同提出に応じず、共産党は参院の採決を棄権。雇用対策関連法案の参院委員会での強行採決が尾を引き、民主党の独走への不信感が増している。

 「一寸の虫にも五分の魂だ。社民党と国民新党がなければ参院では過半数にはならない」。24日の参院民主党総会で、国民新党の自見庄三郎副代表は民主党にクギを刺した。社民党の福島瑞穂党首も記者会見で「民主党は雇用法案を強行採決するなど、あまりに急ぎすぎている」と不信感をにじませた。

 雇用対策で独自路線をとる共産党からは「決議案はパフォーマンス以下の『アホーマンス』。反対したいぐらいだ」とやゆする声も。志位和夫委員長は議員団総会で「民主党は党略的。労働者の生活と命がかかる重大な問題をもてあそんだ責任は極めて重大だ」と批判した。

 民主党の小沢一郎代表は決議案提出について「『審判を仰げ』という国民の気持ちを代弁した」と述べるにとどめたが、党内には「渡辺喜美元行革相の造反で効果はあったが、もう少し他党に配慮すべきだ」(中堅)との懸念が広がっている。【田中成之】

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