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2008年12月23日(火) 09時20分

月の砂漠を旅しよう ラクダのオーナーになってツアーに参加産経新聞

 ■アルジェリア遊牧民の支援にも

 ラクダのオーナーになって、遊牧民を支援しませんか−。アルジェリアの遊牧民、トゥアレグ族とともに、遊牧民支援を目指す団体「サハラ・エリキ」を立ち上げたパリ在住のデコート豊崎アリサさん(37)が、日本で「東京友の会」を設立した。独自のラクダツアーを主催し、オーナー制度で12頭のラクダを所有する同団体では、今シーズンのツアー参加者を広く募っている。(木村さやか)

 ≪1頭4万〜8万円≫

 ラクダは1頭4万〜8万円。オーナーとして注文すれば、アリサさんらがラクダ市場で買い付け、トゥアレグのラクダ使いに貸与され、育てられる。ラクダを通じて得られた収入は餌代やラクダ使いの給与に。オーナーは好きな名前を付け、ウェブサイトに定期的に掲載される「ラクダ通信」で様子も確認できる。

 人気なのは、自分のラクダの背に乗り砂漠を旅する1〜2週間のツアー。砂漠を毎日5〜6時間歩き、炭で焼いたパンや、オアシスの野菜を食べる。参加者は30〜40代が中心だが、中には60代も。

 「正しいラクダの乗り方をマスターしたら、体の不調が改善したというお客さんもいました」とアリサさんは話す。

 ≪干魃で絶滅≫

 アリサさんは、フランス人の父と日本人の母を持つハーフ。銀行員だった冒険好きの父に連れられ、幼いころからアフリカ各地を回った。現地の人と同じようにトラックの荷台に何日間も揺られて移動する旅行は、「普通の観光旅行」とは異なる。そんな中、11年前に訪れたサハラ砂漠での夜。「降るような星空と砂丘、オアシスの美しさに衝撃を受けました」という。

 以来、通訳の仕事などで砂漠での生活を重ね、4年前にタッシリ・ナジェールを訪ねたとき、トゥアレグ族のラクダ使い、ハマニさんと出会った。トゥアレグはもともと遊牧民の戦士で、キャラバンの交易で砂漠を経済的に支配してきた。だが、1970〜80年代の干魃(かんばつ)でラクダが絶滅し、その影響で現在は5カ国のサハラ砂漠地域に約150万人が分散して暮らしているとされる。

 「アルジェリアの都市、ジャネットでは現在、遊牧生活は完全に切り離され、ラクダを使って砂漠を駆け回っていたトゥアレグも、出稼ぎや砂漠での密輸に手を出し始めるほど生活に窮しています。ラクダとともに生きたいと願う彼らを何とか支援したいと思って」

 ≪日本はあこがれ≫

 アリサさんは2006年3月、ハマニさんとともに「サハラ・エリキ」を設立。ラクダの世話、ラクダツアーを通じ、トゥアレグの仕事を作り出すために、12月からラクダオーナー制度を始めた。

 今夏には東京で、「友の会」も発足。最近は干魃続きで餌代が高騰しており、アリサさんは、現在12人いるオーナーをさらに増やし、ツアーも広げていきたいと考えている。

 「ラクダのリズムは砂漠のリズム。1週間あれば身も心もクリアになると思います。伝統を大切にしながら近代化した日本は、アフリカの人々のあこがれでもあります。ラクダを通じた交流がいろんな方向に広がればいいなと思っています」

                   ◇

 砂漠のシーズンは10〜5月。ラクダツアーは1週間で800ユーロ(約10万円)から。問い合わせはメールでサハラ・エリキ(alissa@sahara−eliki.org)。

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