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2008年12月23日(火) 00時22分

阪神大震災被災者、脱サラし青年海外協力隊員に 期待と希望胸にブータンへ産経新聞

 高校2年生の時に阪神大震災で被災した兵庫県芦屋市の元電気工、戸田健二さん(31)が震災直後のボランティア経験を生かし、脱サラして青年海外協力隊員として来年1月、ブータンに赴く。「人と人が助け合い、些細(ささい)なことにも『ありがとう』と言い合える。そんな被災地の暖かさが自分の原動力」。被災地で汗を流した日から14年。期待と希望を胸に任地に旅立つ。

 震災で自宅マンションが半壊した戸田さんは両親、祖父とともに近くの小学校に避難。休校で、特にすることがない毎日に「何か手伝えないか」と気軽に始めた炊き出しの手伝いが、その後の人生を変えた。

 家族は1週間ほどで自宅に戻ったが、戸田さんは県内外から集まっていたボランティアと寝泊まりしながら活動を続けた。仕事は食事や物の配給など単純作業の連続。それでも「目まぐるしく1日が過ぎ、学校が始まるまでの3カ月はあっという間だった」と振り返る。

 高校卒業後、電気関係の仕事に就いたが、10年を過ぎたころから何か物足りなさを感じるようになり、ボランティア活動を再開。災害発生のニュースに、仕事を休んで被災地に駆けつけたこともある。

 大きな転機となったのは、昨年7月の新潟県中越沖地震だ。柏崎市に入った戸田さんは自宅が全壊し、肩を落とす男性の姿に自分の体験がよみがえった。

 そして、ボランティア活動のために仕事を辞めることを決意。両親は反対だったが、迷いはなかった。NPO法人で活動している阪神大震災当時のボランティア仲間の存在も決断を後押しした。

 派遣先のブータンには初めて訪れる。現地では、電気設備の技術を教えるのが仕事だ。初めての長期海外生活。だが、不安よりも、人との出会いなど期待の方が大きい。「一緒に住み、同じ目線で仕事をするつもり。現地の言葉も話せるようになりたい」と目を輝かせた。

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