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2008年12月23日(火) 05時01分

<天皇陛下>75歳に 「体調良くなってきた」文章で感想毎日新聞

 天皇陛下は23日、75歳の誕生日を迎えた。陛下は今月上旬に不整脈や胃の炎症などが確認されたことから、負担軽減のために例年実施している記者会見を取りやめ、感想を文章で示した。陛下は体調について「人々が心配してくれていることに感謝します。最近は、体調もひところに比べて、良くなってきているように感じています」と回復の様子を記した。

 さらに「昨今、私や家族の健康のことで、国民に心配をかけていることを心苦しく思います」と心情を吐露。「私も、健康に問題がないとは言えませんが、医師の注意を守り、これからも国と国民のため、また、より良き皇室の姿を求めて務めていきたいと考えています」と気持ちを表した。

 病気療養中の皇太子妃雅子さまに対しては「家族が皆で、支えていくのは当然のことです。私も、皇后も、将来重い立場に立つ皇太子、皇太子妃の健康を願いつつ、二人の力になっていきたい」とご夫妻を気遣った。

 また、6月の岩手・宮城内陸地震の被災者らを案じ、日本人4人のノーベル賞受賞を喜んだ。経済危機に関しては「働きたい人々が働く機会を持ち得ないという事態に心が痛みます」と記した。【真鍋光之】

 ◇天皇陛下ご感想◇

 1 しばらくの間は、日程を軽くするようにとの医師の勧めに沿って、今回は、記者会見を取りやめることになりました。私の健康について人々が心配してくれていることに感謝します。最近は、体調もひところに比べて、良くなってきているように感じています。

 2 今年は、日本に上陸した台風は一つもなく、天候に恵まれ、農作物もおおむね良い収穫が得られたことは喜ばしいことでした。それでも、全国各地で局地的な大雨が発生し、また、6月には岩手・宮城内陸地震が、7月には岩手県北部を震源とする地震が発生しました。

 これらの災害で、死者や住宅の損壊などの被害が生じたことは痛ましいことでした。岩手・宮城内陸地震の被災者が、冬を迎えて仮設住宅住まいを余儀なくされていることを案じています。

 また、河川や下水道の急激な増水によって多くの人命が失われたことも、痛ましいことでした。

 3 今年は、北京でオリンピック競技大会とパラリンピック競技大会が開催されましたが、それぞれの大会での日本選手の活躍ぶりは、心に残っております。

 また、南部陽一郎博士、小林誠博士、益川敏英博士の3名の方がノーベル物理学賞を、下村脩博士がノーベル化学賞を受賞したことも、喜ばしいことでした。どちらも、多くの人々に明るい気持ちと励ましを与えたことと思います。

 4年前に新潟県中越地震の被災地を訪れた際には、ヘリコプターで上空から視察することしかできなかった旧山古志村を9月に訪れましたが、復興が進み、闘牛や錦鯉(にしきごい)の養殖などが再開されていることを心強く思いました。

 4 昨今、私や家族の健康のことで、国民に心配をかけていることを心苦しく思います。私も、健康に問題がないとは言えませんが、医師の注意を守り、これからも国と国民のため、また、より良き皇室の姿を求めて務めていきたいと考えています。

 皇太子妃が病気の今、家族が皆で、支えていくのは当然のことです。私も、皇后も、将来重い立場に立つ皇太子、皇太子妃の健康を願いつつ、二人の力になっていきたいと願っています。

 5 世界的な金融危機に端を発して、現在多くの国々が深刻な経済危機に直面しており、我が国においても、経済の悪化に伴い多くの国民が困難な状況に置かれていることを案じています。働きたい人々が働く機会を持ち得ないという事態に心が痛みます。

 これまでさまざまな苦難を克服してきた国民の英知を結集し、また、互いに絆(きずな)を大切にして助け合うことにより、皆で、この度の困難を乗り越えることを切に願っています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081223-00000009-mai-soci