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2008年12月23日(火) 02時03分

手術中に輸血ミス、転落事故で重体の男性に 大阪の府立病院産経新聞

 大阪府守口市で20日発生した転落事故で重体となり、搬送先の府立中河内救命救急センター(東大阪市)で死亡した同府門真市の男性(31)に、病院側が男性の血液型のO型ではなく、A型の血液を誤って輸血していたことが22日、分かった。病院側はミスを認めたうえで「死因に直接の影響はなかった」と説明しているが、守口署は司法解剖し、輸血ミスと死亡の因果関係について慎重に調べている。

 同署や病院によると、男性は20日午前8時45分ごろ、守口市内の勤務先のビル屋上から転落。病院に搬送されたが、大量出血で意識不明となり、その後血圧が低下するなどしたため緊急輸血をすることになった。

 血液型試験の結果、男性はO型だったため、病院が大阪市内の血液センターにO型の血液パックを発注、担当医師らが届いた血液を約3300ミリリットル輸血した。しかし、このうち約150ミリリットルが院内にあった在庫分のA型の血液だったことが判明した。男性は事故から約4時間後の同日正午すぎに死亡した。

 この病院では輸血の際に届いた血液は担当の検査技師が一括管理する。通常は、検査技師が必要な血液をセンターに発注。届いた血液パックを検査技師が確認し、看護師が手術室に届ける。看護師はこの際、血液型があっているかを再度、確認し、使用する前に医師と看護師が3度目のチェックを行う。

 今回のケースは、血液センターから送られた輸血パックの表示や、その際の確認に問題はなかったと病院側は説明している。しかし、どの時点で在庫のA型の血液パックが混ざったかは不明。少なくとも、使用前に血液パックを確認する必要のあった看護師や、輸血を担当した医師らのチェックが不十分だった可能性が高い。

 病院側は男性の死亡後、手術中に輸血ミスがあったことを認めて遺族に謝罪。守口署にも届け出た。

 同病院の村上明彦事務長は「あってはならないミス。(不適合輸血が)直接の死因ではなかったと判断しているが、原因究明と再発防止に向けて院内で定めた輸血マニュアルを見直すなどし、二度とミスを起こさないよう徹底したい」と話している。

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