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2008年12月23日(火) 01時40分

<中期プログラム>亀裂避け玉虫色…消費増税明記で自公合意毎日新聞

 政府の「中期プログラム」をめぐる与党の協議で、消費税増税の実施時期が政府原案通り「11年度」と明記されることが決まったことで、明記にこだわった麻生太郎首相の体面は保たれた。ただ、内実は首相と公明党の両方の顔を立て、政府・与党の亀裂を避けるための玉虫色の決着だ。

 首相は、社会保障費の抑制額を圧縮する財源として検討を指示した「たばこ増税」が与党に拒否されるなど、このところ求心力低下がささやかれてきた。今回もぶれれば、首相にとっては致命傷になる恐れが高かった。

 明記にこだわった首相は「社会保障財源をこれからどうするのかを示すことこそ政権与党の責任」と繰り返し周囲に語ってきた。景気・雇用対策で財政出動を打ち出す以上、安定財源の確保への取り組みを同時並行で行わなければ「ばらまき」批判を免れない。

 麻生首相の背中を強く押していたのは、与謝野馨経済財政担当相だった。与謝野氏は政界きっての財政規律論者。元来、選挙区(衆院東京1区)を巡って公明党・創価学会との関係が深かったが、今回は公明党とたもとを分かつかのように、「3年後」から一歩も引かない姿勢を示してきた。

 ただ、麻生首相と与謝野氏の間にも温度差はあった。次のステップとなる税制改革の手順などを定めるプログラム法案について、与謝野氏は同法案の必要性を強調しているが、首相は「法制化することは検討させていただく」とやや慎重な物言いをしている。そうした首相の意思が今回の玉虫色決着につながっているとも言える。

 公明党は次期衆院選で「増税政党」視されることを回避しようと必死だった。今回の決定は自公連立、ひいては麻生政権の瓦解を防ぐための弥縫策(びほうさく)にすぎない。【西田進一郎】

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