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2008年12月23日(火) 23時07分

京都・清水寺の歴史を紙芝居で 紙芝居師の安野さん産経新聞

 京都屈指の観光スポット清水寺(京都市東山区)で23日、紙芝居で寺史を紹介する新しい活動が始まった。京都を拠点に活躍するベテラン紙芝居師、安野侑志(ゆうし)さん(65)が、重要文化財「清水寺縁起絵巻」(土佐光信筆、東京国立博物館蔵)の絵をデジタル複製するなどして作った新作の紙芝居をユーモアたっぷりに“口演”。参拝者たちが足を止め歴史的建築物が並ぶ境内で昔懐かしい風情を楽しんだ。

 観客と直接やりとりする紙芝居のライブ感に魅せられた安野さんは昭和47年に大阪府の「紙しばい業者免許」を取得。結婚式の司会業などと兼業していたが、平成5年から紙芝居に専念。「ヤッサン」という愛称で親しまれ、京都国際マンガミュージアム(京都市中京区)で披露するなど、活動に取り組んでいる。

 昨年、紙芝居を通じて日本文化を国内外に発信していくという安野さんの企画が京都文化ベンチャーコンペティション「ビジネスアイデア部門」で府知事賞最優秀賞を受賞。今回はその一環として実演された。

 同寺経堂前で、作務衣(さむえ)に帽子姿の安野さんが「紙芝居が始まるよ」と拍子木を打ち鳴らして客寄せ。クイズを交えて巧みに観客の興味を引き寄せ、自転車の荷台に乗せられた舞台で「清水寺縁起〜音を観(み)る心」を熱演した。

 全34枚のうち、16枚に清水寺縁起絵巻をデジタル複製した画像を採用。坂上田村麻呂や行叡、延鎮など、建立にかかわった僧侶らの人物像にも触れながら、「鹿たちも寺院建立を手伝った」といった逸話などをユーモアたっぷりに紹介し、観客の笑いを誘った。

 龍谷大学3回生、石塚由美子さん(20)は「とても分かりやすくて面白いのに、細かいエピソードも入っていて驚いた。大学では英語で京都を紹介するサークル活動をしているので、とても勉強になりました」と話した。

 境内での紙芝居は今後も続けられる予定で、現段階では25〜27日と1月1日〜4日の午前10時から日没ごろまで“口演”する予定。安野さんは「文化財を紙芝居にするのは初めてですが、絵巻自体も当時の紙芝居のような役割だったことに気付いた。臨場感を楽しみながら日本の文化を知ってもらえれば」としている。

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