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2008年12月23日(火) 22時30分

政権交代「タクシン派造反組が主導」…タイ新首相会見読売新聞

 【バンコク=田原徳容】タイのアピシット・ウェチャチワ新首相(44)は23日、バンコクの首相府で在タイ邦人記者団と会見し、下院第2党の民主党が多数派工作に成功したことについて、「(タクシン元首相派で造反した)ネウィン元副農相派から働きかけがあった」と述べ、政権交代はタクシン派造反組の主導で実現したことを明らかにした。

 ネウィン氏はタクシン氏の側近中の側近で、民主党は従来、ネウィン氏を「政治腐敗の象徴」として攻撃してきた。アピシット首相は「造反がなければ、民主党主導政権は実現できなかった」と認め、「タクシン派と反タクシン派の対立による政情混迷状況は変えなければならない、との認識で一致したため手を組んだ」と苦しい説明に終始した。ただ、「全閣僚には私の政策を実行してもらう。それができなければ改造もありうる」と、自らの指導力を強調した。

 最優先課題に掲げた国民和解では、「平等な法の適用がカギを握る」と指摘。反タクシン派の「市民民主化同盟(PAD)」による空港閉鎖については、軍や警察の対応に不満を表明。「二度と起こさないようにする」と改めて誓い、PADに「平等な法の適用」を行うことを明言した。民主党下院議員のPAD幹部としての空港占拠関与も、「個人的に活動に加わった。法律違反があれば起訴されるだろう」と述べた。

 海外逃亡中のタクシン氏については、「司法が対処すべきだ。もはや彼にこだわる必要はない」とした。

 政局混乱で延期された東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議など一連の会議は「1月下旬にもバンコクで開催したいが、各国との調整を考慮すると2月になるだろう」との見通しを示し、国際的なタイの信用を取り戻したいとの意向を示した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081223-00000038-yom-int