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2008年12月23日(火) 21時55分

【Re:社会部】優先すべきは安全と信頼産経新聞

 「心配で仕方がないんだよ」。世界最高となる時速350キロで営業運転を始めた中国新幹線について、ある鉄道関係者が漏らしました。使用車両は東北新幹線「はやて」と、ドイツの高速鉄道「ICE」がベースの2種類です。

 中国は車両そのものではなく技術を移転させ、見た目もそっくりなオリジナル車両をこしらえました。モーターを増備すればスピードアップは比較的たやすいのですが、営業運転までには線路、架線、保安装置といったシステム全般にわたる安全対策が立ちはだかってきます。

 フランスやカナダのメーカー製によく似た車両も200キロ超で走る中国新幹線。世界中の偽ブランド品があふれる国だけに“面目躍如”なのかもしれませんが、線路、架線、保安装置などとの相性に無理はないのか、世界最速に耐え得るのか気になります。

 「国威発揚でスピードを前面に出すのは分かりやすいけれど…」と関係者。日本の新幹線が世界に名を知らしめたのは、乗客でけが人を出していないという安全面を含めてのことです。

 JR東日本は昨年11月、乗り心地や騒音防止の面から、開発中の新幹線車両の営業時速を当初予定の360キロから320キロに変更しました。高速鉄道が事故を起こせば多大な犠牲者が出ます。優先すべきは安全と信頼なのです。(ナ)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081223-00000586-san-soci