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2008年12月23日(火) 21時35分

学テ下位中の下位…大阪の自治体、対応に温度差産経新聞

 大阪府の橋下徹知事が全国学力テストの市町村別平均正答率を公表してから2カ月。都道府県別で下位層に属する大阪の中で、さらに成績が低迷した自治体にとっては基礎学力の向上、学力と関連性の高い生活習慣の改善に向けた取り組みが急務だが、自治体によって“温度差”がみられるのが現状だ。

 中学校の平均正答率が大阪府の中でも下位に低迷した守口市。同市は結果を踏まえ、「学力向上・学習状況改善重点プラン」を発表した。学び力向上プラン▽言語力育成プラン▽家庭学習応援プラン−の3つのプランを柱とし、3年後の平成22年度までに全国平均を上回ることを目標に設定した。

 3つのプランは、学力テストにより判明した子供たちの学習意欲の希薄さや読書嫌い、生活リズムなどの問題点に対する解決策を集約したもの。具体的には、「もりぐちっ子応援プラン」という目標設定カードを今月、市内の小中学校の各家庭に配布した。

 このカードは学習時間や読書時間、毎日の目標を各家庭で話し合って決めるというもので、府内の自治体に先駆け同市が導入した。家庭学習の習慣を確立させるほか、子供と親とで目標を立てることにより、「学校任せの学習ではなく学力の底上げに親を巻き込んでいく」のが目的という。来年には府でも同種のカードを各教育委員会に配布する方針だ。

 同市は累積財政赤字が約40億円と厳しい財政状況が続いているが、同市教委の南親宏・教育人権指導課長は「財政が厳しいからといって手をこまねいている状況にはない。全国でも低迷した大阪でさらに下位にあるというのが実情。積極的に対策を立てていく」と危機感を募らせる。

 一方、予算などを理由にいまだ具体的な政策を打ち出せないでいる自治体も。小学生の成績が低迷した四條畷市では「新年度に向けて対応を考えているが、具体的な方針は決まっていない」とし、門真市も「学習体制の見直しに迫られているとは感じているが、これといった具体的な施策は現時点では検討中」としている。

 教育評論家の尾木直樹・法政大学教授は「各自治体は今回の公表をきっかけにして、保護者や住民が自分たちの子供にどういう教育を求めているのかを敏感に感じ取る必要がある。何もしないということは考えられないことだし、新しい取り組みを実施した自治体もそれが本当に求められているのかを考える市民目線を忘れてはいけない」と話している。

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