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2008年12月23日(火) 20時41分

株券電子化直前 権利失わないようご注意を産経新聞

 上場企業の従来の紙の株券が無効になる「株券の電子化」が来年1月5日に実施される。手元で保管してある“タンス株”は電子データを集中管理する証券保管振替機構(通称ほふり)に預け入れる必要があるが、発行済み株式全体の約5%が手続き未了となっており、相続などで他人名義のままになっていると、株主としての権利を失う恐れがある。また電子化準備のため18銘柄が12月25日から取引停止となる。年始の取引が始まる5日までの間に株価が大きく変動するような事態が起きても売買できないため、注意が必要だ。

 ほふりによると、預け入れ最終日の今月19日までに手続きされた株数は3449億株で、発行済み株式全体(3627億株)の95.1%。4.9%の178億株がタンス株のままとなっている。

 電子化は、ほふりや証券会社などの口座で電子的に管理するもので、東京証券取引所やジャスダック証券取引所などに上場されている全企業が対象となる。

 株券の盗難や紛失、偽造の心配がなくなるほか、複数銘柄の配当金を一括して口座振り込みで受け取ることができるなど投資家の利便性が高まる。

 すでに証券会社に株券を持ち込み、ほふりへの預け入れを済ませた人は、1月5日以降も従来通り売買できる。

 タンス株については、発行企業が「特別口座」を開設し、株主名簿の名義で自動的に管理する。相続などで譲渡を受けたが、株券の名義を書き換えていないと、名義人によって勝手に処理されてしまう可能性もある。

 こうした事態を避けるには、12月30日までに信託銀行で名義書き換えの手続きをしておくことが必要。自分の名義にしておけば、売買はできないが、今後も配当を受け取るなど株主権利は維持できる。売買するためには、証券会社などを通じて電子化の手続きをする必要がある。

 一方、25日から売買停止となるのは、電子化に伴い無効となる「端株(はかぶ)」と呼ばれる1株未満の株式の解消を終えていない銘柄。端株は、合併の際の株式交換比率によって、1株以下の単位の新株が割り当てられることなどで発生する。

 対象企業は、株式分割によって端株を解消する必要がある。例えば、最低単位が0.1株の場合、10分割すれば1株単位になる。

 分割手続きによる混乱を回避するため、東証などは取引停止を決めた。ただ、みずほフィナンシャルグループやNTTなどの大型株も対象となっており、他の株式は売買ができる12月25〜30日に国内外で株価が大きく変動するような事態が生じた場合の「不公平」を指摘する声もある。

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