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2008年12月23日(火) 20時15分

学生新聞もネット時代に 大麻事件の“法廷再現”も産経新聞

 関西の国立、私立9大学のサークルが共同でつくる学生新聞が、インターネットを使った記事の配信に力を入れ始めている。好カードの学生スポーツではリアルタイムの速報を展開。最近問題となった学生による大麻所持事件では法廷での傍聴記事をネットにアップするなど、“本家”の新聞も顔負けの充実ぶりとなっている。部員は「紙も大切だが、学生新聞も今やネットなしではありえない」と話している。

 発行元は京都、大阪、神戸の国立大と、関西、関西学院、同志社、立命館、京都女子、神戸女学院の私立大のサークルでつくる「UNN関西学生報道連盟」。平成3年に設立し、学内向けに新聞紙を年7回発行する一方、8年からネット配信も行うようになった。

 紙媒体の発行部数は年間で計約26万6000部。各大学のキャンパスで配布しているが、紙代などの経費もかかるため3年前からはアメリカンフットボールの試合結果の速報など、ネット版の充実を図ってきた。その結果、現在ではホームページには1カ月で平均約2万3000件、試合結果の速報では1日で3万件のアクセスがあるという。

 来期から代表を務める関西学院大2年の稲垣祐希さん(20)は、「ネットはスペースを気にせずにどんどんアップできるし、何よりも速さが命。学外にも読者を増やせる可能性がある」と手応えを語る。

 21日に大阪・長居スタジアムで行われた、アメフトの学生日本一を決める「甲子園ボウル」では46人の部員ほぼ全員が参加する異例の速報態勢を敷いた。部員が試合の状況を声に出して解説し、別の部員がそのままパソコンに入力。デスク役のチェックを受け、カメラマン役の部員が撮った写真とともに次々とアップし、部員が手分けしながら刻々と進むゲーム内容を伝え続けた。

 速報性とともに重視しているのが、丹念な取材。9日に大阪地裁で開かれた大麻取締法違反罪などに問われた元関大生の判決公判では、傍聴をもとに同日中に記事をネットにアップした。

 「被告は黒いトレーナー、茶色いズボン姿で出廷。終始無言で判決理由を聴いていた…」。法廷内の描写や裁判長の判決理由も詳しく伝えたほか、一連の事件では、警察や検察庁にも独自取材を行った。

 報道局長の神戸大3年、西田健悟さん(22)は「大学生にとって重要な問題なので取材しました。常にアンテナを張り、必要であればどこへでも行き取材し、記事にします」。

 運営費は部費と企業からの広告による収入でまかなっているが、急激に進む不況の影響もあり、新聞への広告収入は落ち込んでいる。今後、ネット版への広告を得る方法を探るという。

 稲垣さんは「記事を読んでもらえることが喜び。そのためにも臨場感を余すところなく伝えられるネット速報を重要視している。これからも学内外に読者を増やしていきたい」と意気込んでいる。

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