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2008年12月23日(火) 19時47分

<金融庁>融資状況の監視強化 信用保証制度の適正利用も毎日新聞

 年末年始や来年3月末に向けて、中小企業の資金繰りが切迫する懸念が高まっていることを受けて、金融庁は金融機関の融資姿勢に対する監視を一段と強めている。貸し渋り・貸しはがし防止のチェックに加え、政府が中小企業の資金繰り支援策として拡充した「信用保証制度」が適切に利用されているかどうかも厳しく調べる方針だ。

 金融庁は信用保証制度を新規融資に使わず、事実上、融資回収に充てるような不正利用が行われていないか、支店への抜き打ち検査なども行う。悪質なケースは、業務改善命令などの行政処分に踏み切る方針。

 政府は10月末に発表した経済対策の一つに、金融機関の中小企業向け融資に100%の保証を付ける総枠6兆円の緊急保証制度を導入した。借り入れの担保が乏しい中小企業や零細企業でも一定の要件を満たせば、各地の信用保証協会の保証承諾を受ける形で新規融資が円滑に受けられる。資金繰りの不安が高まる中、12月中旬時点で保証承諾の件数は10万件以上、保証額は2兆数千億円に達している。

 しかし、金融機関の貸し渋りに対する苦情は後を絶たない状況。背景には、金融機関が経営不振の企業に過去に行った融資を、保証付き融資にそっくり振り替えるなど、緊急保証制度の趣旨から外れた「焦げ付き融資の公的な肩代わり」に使っているケースがあるためとみられる。

 緊急融資保証の代理申請に当たっては、大阪市など一部地域で代理申請を禁じているが、金融機関の職員が中小企業の担当者を装って保証協会の窓口に申請した悪質な例も見つかっている。実際、大阪市から「一部の金融機関で不適切な行為がある」と連絡を受けた財務省近畿財務局は今月2日に緊急保証制度の趣旨の徹底を求める緊急通達を管内の地銀や第二地銀、信金などへ財務局長名で通知した。

 信用保証制度の不正利用は、97〜98年の金融危機の際にも多発し、経営陣が主導した地銀も出た。こうした経緯を踏まえ、金融庁は支店レベルの融資状況なども詳細にチェックし、信用保証制度の不正利用の防止を徹底する方針だ。【永井大介】

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