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2008年12月23日(火) 13時50分

元MR.BIG、エリック・マーティンの子育て産経新聞

 「子育てって、バンド活動より大変かもしれない。双子が生まれた直後の2年間は特別だったよ。おむつを(通算で)7000回は取り換えたね。でも、子育ては最高に楽しかった」

 元「MR.BIG(ミスタービッグ)」のボーカルといえば、全米1位を獲得した「TO BE WITH YOU」(1991年)を思い出す人は日本でも多いはず。本格的な活動再開は4年ぶりなのだが、ペースダウンしていた理由が「父親として家族と過ごす時間を大切にしたかった。ロックスターでいるより、父親でいたかった」というから、頭が下がる。

 そこで復活の“手みやげ”となったのが、日本の女性アーティストの大ヒット曲のカバーアルバム「MR.VOCALIST」。

 「最初、企画が持ち込まれたときには『なぜ自分に?』とも思ったけれど、自分も新しい、実験的なことがやりたかったんだ。だってロックバンドをやったって『ミスタービッグ』と比較されるのは見えている。もう、自分の中の“第1章”は終わったんだ」

    ×  ×

 「PRIDE」(今井美樹)に始まり、「Everything」(MISIA)、「M」(プリンセスプリンセス)など、時代は変わるが、いずれもメガヒットの11曲を収めた。

 「TO BE WITH YOU」もバラードだが、「どの曲もみなスムーズでソフト、エモーショナリー。模倣しようとしても、うまくいかない。自分らしく歌った方がいいと思ったんだ。そうしたら、すごく“居心地のいい”曲ばかりになったね。もう自分の曲のような感覚」と語る。

 「自分らしい」といっても、いずれの曲にも、もとの曲の“匂い”というか“残り香”が感じられる。

 「そこに非常に気をつかったんだ。アルバムを聞く人は、みなこれらの曲とともに育った人。原曲のイメージを大切にしたかったんだ」と、ファンへのリスペクトも忘れない。

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 「たとえばアメリカなら、子供のころハードロックが好きでも、結婚して子供ができると『青春の思い出』になっちゃう。日本のファンは一度好きになると、大多数がずっとついてきてくれる。すばらしいね」

 「MR.VOCALIST」は好評で、3月には第2弾もリリースされるが、「ロック魂が消えたわけではない」と笑う。ハイトーンでエネルギッシュなシャウトが好きなファンも、今後に期待が持てそうだ。

 「もともとロックンロールって『不良』の音楽なんだよね。ちょっとシリアスに話しすぎたかな」といたずらっぽく笑うが、スマートないで立ち、家族やファンへのリスペクトを忘れない“かっこよさ”には、アルバムのタイトル通り、「ミスターボーカリスト」という“称号”を与えたくなるのである。(文・広瀬一雄、写真・大山実)

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